2011 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性相互作用を利用したポリイオンコンプレックスナノ粒子の創製と機能評価
Project/Area Number |
22700493
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤木 隆美 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任助教 (00527236)
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Keywords | ナノ粒子 / ポリイオンコンプレックス / 疎水性相互作用 / ドラッグデリバリーシステム / ポリ(γ-グルタミン酸) / ワクチン |
Research Abstract |
昨年度において、高分子鎖間に働く静電的相互作用と疎水性相互作用を同時に利用することで、生理的環境下でも安定に機能するpolyion complex(PIC)ナノ粒子を創製し、PICの安定化に対する新しい方法論を開発した。本年度は、drug deliverysy stem(DDS)としての本ナノ粒子の機能性および有用性を明らかにすることを目的に、薬物担持能およびワクチンキャリアとしての有効性を評価した。疎水性アミノ酸を修飾したポリ(γ-グルタミン酸)(γ-PGA)とポリ(ε-リシン)(ε-PL)からなるPICナノ粒子は、蛋白質、ペプチド、核酸を電荷に依存することなく内包することが可能であり、緩衝液中で長期間安定に薬物を担持できることが明らかとなった。また、薬物担持PICナノ粒子は、免疫担当細胞である樹状細胞において効率的な取込みが認められた。疎水化γ-PGAからなるPICナノ粒子は生体内において高い安定性を示し、抗原提示細胞に効率よく抗原をデリバリーできることから、新規なワクチンキャリアとして有用であると考えられる。PICは塩濃度、pH、希釈といった外部環境変化に対する安定性が低いことから、化学架橋による安定性・機能性の向上が図られているが、粒子コアおよびシェルの架橋による粒子の物性変化を避けることが困難である。疎水性相互作用を利用した新たなPICの分子設計により、PICナノ粒子の新たな製造方法及び、それを用いる新規なDDS材料の提供が可能となるともに、新たなナノパーティクルテクノロジーの創出に繋がると考えられる。また、疎水化γ-PGAとカチオン性高分子より形成されるPICは、その混合比により粒子の表面電荷やサイズを制御できる特長も有しており、多機能性キャリアの創製に繋がると期待される。
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Research Products
(10 results)