2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマー・アーキテクチャにもとづく高選択性抗菌剤の開発
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22700494
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
安原 主馬 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (90545716)
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Keywords | 抗菌ポリマー / ポリマー・アーキテクチャ / 脂質二分子膜 / 両親媒性ポリマー / 抗生物質 |
Research Abstract |
本研究課題では、耐性菌の発生を誘導しにくい天然の抗菌ペプチドの構造及び作用機構にヒントを得てポリマー分子を設計し、ポリマー骨格構造を厳密にチューニングすることで、高抗菌活性かつ低毒性な抗菌ポリマーの開発を行うことを目的とした。本年度は、具体的に以下の研究を実施し、成果を得た。 (1)抗菌活性の有効範囲評価と新規モデル系の構築 細菌の種類に応じて細胞膜の有する脂質組成が異なることが知られている。そこで、本研究で開発する抗菌ポリマーの有効範囲と作用機構を検討するため、異なる種類の細胞膜を模倣したリポソームを用いて評価を行った。また、より詳細に作用機構を検討するためのモデル系として、脂質ナノディスクを新規に開発し、ポリマーとの相互作用評価を行い、有効性を検証した。 (2)細胞毒性に関する詳細な検討 細胞毒性に関する検討として、これまでの溶血試験に加えて、ジャイアントベシクルを用いたモデル系による検討を重点的に行った。赤血球を模倣した脂質組成を有するジャイアントベシクルを用いて評価したところ、高い溶血毒性を示すポリマーは膜構造を破壊したのに対して、低毒性なポリマーは膜の概乱効果が極めて低いことが明らかになった。これらの知見から、毒性低減を行うためのポリマー分子の設計指針を得た。 (3)ポリマー構造の最適化 前年度までに得られた成果をもとにポリマー構造の最適化をおこなった。具体的には、細胞膜と相互作用することで、脂質膜の超分子構造である脂質ドメインの形成を誘導するポリマーの設計・合成を行った。結果、従来の抗菌性材料や天然の抗菌ペプチドと比較して極めて高い抗菌活性を有するものの、溶血毒性を全く示さない抗菌性ポリマーの開発に成功した。
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Research Products
(16 results)