2010 Fiscal Year Annual Research Report
機械的刺激を用いた新規温度応答性細胞培養表面の開発
Project/Area Number |
22700496
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
秋山 義勝 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20349640)
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Keywords | 温度応答性高分子 / PDMS / 超薄膜 / 電子線照射 / 細胞シート / 再生医療 |
Research Abstract |
本年度は(1)PDMSの作製および評価、(2)PDMS表面へのPIPAAmグラフト、(3)作製した表面の物性評価、を中心に評価を行った。以下、各項目について成果報告を行う。(1)PDMSの作製および評価:市販のPDMSを複数、、購入し、その中から本研究に適したPDMS素材を選択した。PDMSの伸展、伸長に関する評価は今年度、実施していないが、PIPAAmを修飾した表面で実施する予定である。(2)PDMS表面へのPIPAAmグラフト:PIPAAm表面をPDMS表面に導入するために、シラノール基導入方法、シラン剤の選択および導入方法について検討を行った。その結果、シラノール基導入には極めて弱い条件での酸素プラズマ処理が有効であり、シラン剤導入には3-アミノプロピルトリシランや(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシランを利用し水系溶媒の条件下で行うと、効率的なシラン剤導入が行えることを確認した。一方で、同じシラン剤を用いても有機系溶媒を用いた場合では、PDMS内部に導入されている傾向を示した。(3)作製した表面の物性評価:電子線照射により、アミノプロピル化したPDMS表面に温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)の導入を試みた。当初は、シラン剤導入なしの表面での固定化も行ったが、PIPAAmの導入効率とその後の細胞培養による評価から、シラン剤を導入し、PIPAAmの導入効率を高めることで、目的とする温度応答性表面が構築できることがわかった。これらの結果からより、詳細な固定化PIPAAmの最適化を行うという課題は残るものの、PIPAAmを導入する一連のケミストリーを確立した。また、プレリミナリーな結果ではあるが、伸長させたPIPAAm固定化PDMS表面とそうでないPIPAAm-PDMS表面からの細胞を剥離させた場合、前者からの細胞剥離挙動は後者と比較すると遅い傾向を示した。すなわち、当初、期待したように機械的刺激によりPIPAAmの高分子鎖の運動が制御されていると推測される。
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