2010 Fiscal Year Annual Research Report
電気泳動法を用いたゲルの接着によるインティジェントアクチュエータの開発
Project/Area Number |
22700497
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
麻生 隆彬 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (50548378)
|
Keywords | 接着 / 刺激応答性高分子 / ゲル / 電気泳動 / アクチュエータ |
Research Abstract |
外部刺激に応答してその形状を大きく変化させる刺激応答性ハイドロゲルはソフトアクチュエータとして幅広い分野で利用可能である。しかし、より複雑な形状変化や応答の要求に応えるためには、ゲルとゲルを接着する必要があるが、ゲルのようなソフトマテリアルの接着技術は、ほとんど無いのが現状である。そこで本研究では、電気泳動法を用いたゲルの新規接着手法を考案した。ゲル内の移動可能な高分子鎖を電気泳動によってゲル及び2つのゲル間を移動させ、ゲル間のリンカーとして作用させ、ゲルをソフトに接着させることが可能と考えた。カチオン性高分子としてポリエチレンイミン、アニオン性高分子としてポリ(アクリル酸)をそれぞれ内包した温度応答性のpoly (N-isopropylacrylamide)(PNIPAAm)ゲルを作製した。陽極にカチオン性、陰極にアニオン性のPNIPAAmゲルを設置し、ゲル同士を接触させ、電場を印加すると2つのゲルが接着する現象を見出した。印加電圧や電気泳動時間変化させると、ゲルの接着強度は変化した。ポリアニオン及びポリカチオンは、電気泳動によってそれぞれ陽極及び陰極へ移動することが考えられる。つまり、移動した高分子鎖が2つのゲル界面においてポリイオンコンプレックスが形成し、2つのゲルを接着したと考えられる。このことから、ゲル界面における高分子鎖の絡み合いが、ゲル同士の接着に効果的であることが示唆された。接着したゲルは、温度上昇に伴うPNIPAAmゲルの収縮によっては剥離しなかった。PNIPAAmゲルの体積相転移に伴い、ゲルの接着面積は3倍以上変化するにもかかわらず剥離が認められなかったことから、接着面が強固である一方、きわめて柔軟であることが示唆された。
|
Research Products
(10 results)