2010 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療のための遺伝子導入の空間的・時間的コントロール
Project/Area Number |
22700499
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大矢根 綾子 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (50356672)
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Keywords | 再生医療 / 遺伝子導入 / 細胞接着因子 / DNA / アパタイト複合層 / プラスミド / 遺伝子治療 / コーティング |
Research Abstract |
目的の場所の細胞内に意図したタイミングで遺伝子を導入する技術は、再生医療を行う上で重要である。本研究は、細胞接着因子およびDNAを担持させたアパタイト層(CD-Ap層)を利用して、遺伝子導入の空間的・時間的コントロールを行うための技術を確立することを目的とする。 平成22年度は、遺伝子導入の空間的コントロール技術として、目的の遺伝子をCD-Ap層表面に接着した細胞に選択的に導入することを検討した。具体的には、Firefly Luciferase(FL)あるいはRenilla Luciferase(RL)の相補的遺伝子を含むプラスミドを担持させた2種類のCD-Ap層(前者をCD(FL)-Ap層、後者をCD(RL)-Ap層とする)を1つのウェル内で隣接させ、それぞれの層表面における2種類の遺伝子の導入効率(培養細胞のFL活性およびRL活性)を調べた。その結果、CD(FL)-Ap層表面に接着した細胞のFL活性はRL活性よりも470倍高く(RL活性はバックグランドと同レベル)、CD(RL)-Ap層表面に接着した細胞のRL活性はFL活性よりも1360倍高かった(FL活性はバックグランドと同レベル)。以上の結果は、CD-Ap層表面から溶出したDNAが同層表面に接着した細胞にのみ選択的に導入され、同じウェル内であっても同層外部の周辺細胞にはほとんど導入されないことを示している。すなわち、CD-Ap層表面における遺伝子導入システムにより、目的の遺伝子を目的の場所の細胞に選択的に導入できることを示した。 上記を含む本研究の成果は、2報の総説として発表したほか、1報の査読付き論文、2報の査読無論文として発表予定である(ほか、国内学会発表3件、国際学会発表3件)。また、本研究実績を含む業績により、研究代表者が日本バイオマテリアル学会奨励賞を受賞した。
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Research Products
(12 results)