2011 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療のための遺伝子導入の空間的・時間的コントロール
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22700499
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大矢根 綾子 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (50356672)
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Keywords | 再生医療 / 遺伝子導入 / 細胞接着因子 / DNA / アパタイト複合層 / プラスミド / 遺伝子治療 / コーティング |
Research Abstract |
目的の場所の細胞内に意図したタイミングで遺伝子を導入する技術は、再生医療を行う上で重要である。研究代表者らは、細胞接着分子(Cell adhesion molecule)およびDNAを担持させたアパタイト層(CD-Ap層)を利用した、安全かつ高効率な遺伝子導入技術を提案してきた。本研究課題は、CD-Ap層の設計によって、遺伝子導入の空間的・時間的コントロールを行うための技術を確立することを目的とする。 当該年度は、遺伝子導入の時間的コントロールを行うためのCD-Ap層の設計について検討した。具体的には、CD-Ap層にフッ化物イオンや炭酸イオンを添加することにより同層の溶解速度を変化させ、層表面に接着した細胞の遺伝子発現の程度を経時的に調べた。その結果、CD-Ap層に炭酸イオンを添加すると、同層の溶解速度が増大し、それにより同層表面における遺伝子導入の効率が向上することが分かった。一方、CD-Ap層にフッ化物イオンを添加すると、添加量に比例して同層の溶解速度が低減し、それにより同層表面における遺伝子導入の効率が低下するとともに、遺伝子発現の時期が遅延することが分かった。すなわち、CD-Ap層へのイオンの添加により、同層表面における遺伝子導入の効率と時期をコントロールできることを示した。また、preliminaryなラットin vivo実験を行い、CD-Ap層による本遺伝子導入技術の安全性と有効性を確認するための動物実験モデルを確立した。 以上の研究により得られた成果を4報の査読付き原著論文(ほかに国際学会論文2報、)、および2報の査読付き総説論文として発表した。また、国内学会において2件、国際学会において3件の成果発表を行い、うち1件の発表においてABC Award(11th Asian BioCeramics Symposium)を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の研究内容を実施し、目標を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従い、動物実験による安全性・生体内における性能評価を進めるとともに、より安全なアパタイト複合層の作製手法についても検討を行う。
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Research Products
(14 results)