2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700508
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柿川 真紀子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10359713)
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Keywords | 磁気応用 / 抗がん剤 / 低侵襲治療 |
Research Abstract |
抗がん剤は、投与後、全身へまわり、がん細胞だけでなく正常細胞にもダメージを与え、副作用を引き起こす。体力の低下したがん患者に対して抗がん剤の副作用を抑えることは重要な課題である。申請者はこれまでの研究より、細菌細胞において、交流磁場(60Hz,50mT)が抗腫瘍性抗生物質マイトマイシンCの効果を増強させることを見出した。この作用が確実であれば、交流磁場をがん細胞に曝露することで、薬剤の効能を患部のみで高め、投薬量を減らし、副作用を抑えられる可能性がある。 抗がん剤と磁場の併用曝露法の有効性を明らかにするため、基礎研究として本年度は抗腫瘍性抗生物質マイトマイシンCと臨床で広く用いられるシスプラチンの2種について、細菌細胞への作用時の交流磁場曝露による作用増強メカニズムを薬剤の細胞膜透過性の点から検討した。 実験では細菌細胞を含む培地に薬剤添加後、磁場曝露群と非曝露群に分けて薬剤作用を測定するが、培地中に添加したマイトマイシンCおよびシスプラチンの一部は細胞膜を透過後、DNAに作用し細胞複製を阻害、細胞死をもたらすが、培地中には細胞に取り込まれなかった薬剤が含まれる。この培地中に残る薬剤作用と磁場曝露による細菌細胞への薬剤作用を比較したところ、マイトマイシンC、シスプラチンともに磁場曝露群では培地中に残る薬量は非曝露群より少なく、その割合、細胞内と細胞外(培地中)の薬剤作用率(薬量)には逆相関がみられたことから、交流磁場曝露により薬剤の細胞膜の透過性が高まり、結果的に、各薬剤作用は増強されることが示唆された。
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