Research Abstract |
本申請は,実際の術空間を再現するシミュレーション技術と既に開発した実物の操作入力システムを統合して,手術支援ロボットの最適な設計開発を支援するシステムの構築を目的としている.本年度は,術空間シミュレータ構築に向け,ロボットの自由度・機構を検証するシステムを開発した.針掛け手技を模擬した環境下において,操作の観点から機構の変化から受ける影響を検証することで,開発したシステムの評価を行った. 本シミュレータは,自由度設定,関節タイプ,DHパラメータ,内視鏡姿勢,ピボット点の位置,ロボット初期配置,鉗子先端位置・鉗子先端姿勢を初期設定した後,操作者がタスクを実行し,関節位置・姿勢,可操作度,駆動範囲などロボットの評価と,操作時における操作感を評価するシステムとし,各構成において機構,挿入位置を検証できるシミュレータとした.これにより,実物の操作入力機器を用いた操作が可能となり,その機構を医師の操作感から検証できるシステムを構築した、臓器変形計算機能においても,Node : 251/Edge : 999にて実行した結果,計算周期は30Hzを満たしており,リアルタイムな操作が可能となった. 続いて,使用者の操作を設計に取り入る有効性を検証する実験を行った.本実験では6自由度を有する術具先端部の屈曲関節間距離を変化させ,針掛け動作を対象とした術具の軌跡を計測した.それぞれの機構に対して,同一の被験者に操作をしてもらった場合,関節間距離が短い条件において,余剰な範囲での操作している結果が得られた.前述の条件では,操作する針が十分に視認することができず,針先端を視認可能な位置へと移動させるために生じた結果であると考えられる.ロボットの設計段階において操作を困難とする機構の存在が示された結果より,提案するシステムの有効性が確認でき,医師による操作を設計に反映させていくことの必要性が示唆された.
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