2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中後遺症者における全身振動刺激装置を用いた運動介入が筋機能に与える影響の解明
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22700524
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
藤田 俊文 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (60431441)
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Keywords | 全身振動刺激 / 筋パワー / 無酸素性パワー / 筋機能 / 脳卒中 / リハビリテーション |
Research Abstract |
全身振動刺激(WBV)を用いた運動介入効果を検証するために、健常成人女性15名(24~58歳)を対象に介入研究を実施した。介入方法として、運動プロトコルは振動時間3分・休憩1分を3セット、実施姿勢は足部を20cm開脚し、膝関節を約30度屈曲位で実施した。介入期間は週3回、8週間の合計24回とした。なお振動周波数の決定方法は、前年度の結果をもとに自覚的運動強度であるBorg指数「13」の「ややきつい」を目安に設定した。介入前後に身体組成、右等尺性膝伸展筋力(筋力を右下肢筋量で除した値を算出:筋力筋量:比)、30秒椅子立ち上がりテスト(CS30)、閉眼片脚立位、立ち幅跳びについて評価を行い変化を確認した。結果として、身体組成の変化としては、BMI、除脂肪量%、水分量%で有意な差が認められたが、変化量が1%未満と小さく臨床的有意差とは言えない可能性が考えられた。また、筋量%については有意な変化は認められなかった。閉眼片脚立位時間以外の、CS30、筋力筋量比、立ち幅跳びに関しては有意に向上が見られた。結果より、筋量の増加は見られないもの筋力筋量比が向上しているという点が明確になった。これはWBVの効果として緊張性振動反射により筋活動が促通され、その結果、中枢効果として大脳の興奮水準の向上、末梢効果として運動単位あたりの動員筋線維数の増加を示唆しているものと考える。そして、CS30や立ち幅跳びのような筋協調性、瞬発力、筋パワーを必要とする運動能力が向上したと考えられる。ただし、プロトコルは1回3分×3セットを週3回程度で1週間では27分程度の運動となり、この程度では身体組成へ変化を及ぼすまでの仕事量ではないことが考えられた。しかしながら本研究より、この程度の介入内容であっても、身体機能へ与える影響は大きく、特に脳卒中患者や要介護高齢者など、身体機能が低下している者にとってWBVを用いた運動は「質」という面で有効な介入方法であると考えられる。
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