2010 Fiscal Year Annual Research Report
股関節疾患患者の関節および筋への負荷軽減に向けた筋骨格モデルシミュレーション解析
Project/Area Number |
22700534
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
建内 宏重 京都大学, 医学研究科, 助教 (60432316)
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Keywords | 障害学 / 筋骨格モデルシミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題では、股関節疾患患者における関節および筋への負荷を筋骨格モデルシミュレーションの手法を用いて推定し、負荷の軽減や弱化筋の活動増加に向けた治療戦略立案を目的としている。研究では、まず変形性股関節症患者および人工股関節全置換術施行患者を対象とし、筋骨格モデル作成のために必要な立位および歩行動作、方向転換動作などの基本的姿勢・動作の運動学的・運動力学的測定を実施した。 患者固有の筋骨格モデルを作成する手法は未だ確立されていないが、本研究課題では、骨関節の構造学的破綻が修復されている人工股関節全置換術術後患者を対象として、測定データから歩行動作の筋骨格モデルを作成し、歩行時の下肢各筋の筋張力を推定した。我々が作成した年齢・身長・体重および歩行速度が同程度の健常中高年者の筋骨格モデルでは、歩行速度(m/s);1.18、股伸展角度(°);14.0、関節モーメント(Nm/kg^*m)は股屈曲;6.4、膝伸展(立脚終期);1.4、足底屈;7.8、シミュレーション解析による筋張力推定値(N/kg)はRF;19.8、Ilpso;5.7、Gas;5.8であった。それに対して、患者の歩行は、速度1.12、術側の股伸展角度;7.7、関節モーメントは股屈曲;5.5、膝伸展;1.8、足底屈;8.7、筋張力推定値はRF;11.8、Ilpso;1.8、Gas;7.3であった(第38回日本股関節学会にて発表)。すなわち、下肢各筋が一律に筋張力を低下させているわけではなく、また筋によっては関節モーメントの低下率よりも大きく張力が低下している筋も存在することが明らかとなった。このことは、従来の関節モーメントからの力学的負荷推定のみならず、個々の筋張力の推定がより重要であることを示唆している。 今後は、さらに多数の症例で筋骨格モデルを作成し、分析精度を向上させていく予定である。
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Research Products
(1 results)