2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中後筋受容器反射の変化及び運動トレーニングによる効果
Project/Area Number |
22700536
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梁 楠 広島大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (70512515)
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Keywords | 脳神経疾患 / 循環器・高血圧 / 神経科学 / 生理学 / リハビリテーション |
Research Abstract |
脳血管障害を引き起こす危険因子として高血圧が挙げられる。高血圧のリハビリテーション戦略として運動療法が有効とされているが、高血圧患者において随意運動に伴う循環応答は健常者と比べ過常であることが明らかにされている。その理由として、随意運動における筋収縮に伴い、末梢筋機械受容器反射と筋代謝受容器反射は高血圧において亢進していることが報告されている。一方、中枢運動指令によって引き起こす循環応答は高血圧では増減しているかどうかは明らかではない。本研究は、ヒト本態性高血圧モデルである自然発生高血圧ラット〔spontaneouslyhypertensive rat,SHR}と対照ラット(Wistar-Kyoto rat,WKY}を用いて、中脳歩行誘発野〔mesencephaliclocomotor region,MLR)の電気刺激によって誘発される運動に伴う循環応答について調べた。上丘前縁で除脳したラットはMLRを同定した後、筋弛緩薬(pancuroniumbromide)投与したうえ実験を行った。その結果、高血圧ラットにおいて、MLR刺激(20,30、40,50μA)に伴う昇圧応答はWKYに比べSHRでは有意に高値を示した。また、腎交感神経活動の増加量もWKYに比べSHRでは有意に多かった。さらに、動脈圧受容体除神経(baro-receptor denervation)を行ったWKYとSHR群間の比較においても同様に、昇圧応答と腎臓交感神経活動では有意な差が認められた。以上の結果をまとめると、筋機械受容器反射と筋代謝受容器反射の影響と動脈血圧反射の影響を除外した状態で、MLR刺激によって誘発される運動に伴う循環応答はWKYに比べSHRでは有意に増加した。すなわち、高血圧において中枢運動指令による循環応答が亢進しているが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳血管障害において最も関係深い高血圧モデルにおいて、筋機械受容器反射および筋代謝受容器反射の亢進だけではなく、中枢運動指令によって引き起こされる昇圧応答も亢進していることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
脳血管障害を引き起こす高血圧において、運動療法が有効とされているものの運動によって惹起される過常な循環応答は脳血管障害をもたらす危険性を高める。そのため、高血圧における過剰な循環応答の生理学的メカニズムを明らかにする必要がある。本研究では、筋受容器反射だけではなく中枢運動指令によって引き起こされる昇圧反応も亢進していることを示した。来年度では、運動時に筋受容器反射が中枢運動指令とどのように影響しあうか、また高血圧群では健常群と比べて違いがあるかどうかを調べる。
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