2011 Fiscal Year Annual Research Report
中高齢者の両眼視線解析手法を用いた見え方の質に対する新指標
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22700552
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
初坂 奈津子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50505352)
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Keywords | 眼球運動 / 読書速度 / 中高齢者 / 両眼視線解析 |
Research Abstract |
中高齢者の加齢に伴う視機能の低下と読書能力の低下を、アイマークレコーダーと読書チャートを組み合わせた両眼視線解析装置を用いて評価した。 前年度に作成したPCの液晶画面による文章提示装置を使い、文字のコントラストや大きさを、規定し、文章朗読時の眼球運動測定を行なった。読書時の眼球運動は、眼球を固定して文字を読み取る「停留」と次の文字へと素早く眼球を動かす「サッカード」の組み合わせであり、それらが効率よく繰り返されることでスムーズな読書を行うことができる。今年度は、若者の評価として20代~30代の健常成人6名と、中高齢者の評価として50代~60代の健常成人8名の測定を行なった。その結果、若者に比べて、中高齢者の読書速度は遅く、眼球運動では、「停留」時間の遅延ではなく、「サッカード」の幅が短くなることが、読書速度の遅延につながっていることがわかった。中高齢者は眼の調節力低下(老視)や水晶体の透明度低下によるコントラスト視力低下が起こっている。若者に比べ、30cm距離での視機能低下が、眼球運動の違いになっている可能性が考えられた。そこで、若者の近距離(30cm)視力を凸レンズを用いて中高齢者より低下させた。その状態で同実験を行い、中高齢者の眼球運動と比較をした。結果は、前回と変わらず、中高齢者の読書速度は遅く、「サッカード」幅が短かった。 今年度はそれらの研究内容と結果をまとめ、学会発表と論文作成を行なった。最終年度は、「サッカード」幅減少の要因を検討するための追加実験と、それらをまとめて国内・外での学会発表、論文作成の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに20代の若年者と50代以上の中高齢者計13名の測定をし、読書時における眼球運動の違いを検討し、学会発表を行なった。昨年12月には5ページの論文にまとめ、報告している。また、中高齢者の眼球運動の結果より、新たな特徴も見られたので、今後はその結果の検討も含め進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
20代の若年者(学生)および中高齢者の被験者を増やして検討を行う。これまでの中高齢者の眼球運動の結果では、目が動く幅(サッカード幅)が若年者に比べて短くなる特徴が示されたが、被験者が増えていくうちに新しい特徴も見られるようになった。そのためそれらを検討できるような実験も追加し、結果をまとめていく予定である。また、昨年と同様に、学会発表(国外・国内)を行い、最終的には論文にまとめ報告する予定である。
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