2012 Fiscal Year Annual Research Report
中高齢者の両眼視線解析手法を用いた見え方の質に対する新指標
Project/Area Number |
22700552
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
初坂 奈津子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50505352)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 読書 / 中高齢者 / 有効視野 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、読書時における両眼での眼球運動を測定した。50歳以上の中高齢者を11名、21歳から30歳までの若年者を12名測定し比較を行った。読書時の眼球運動は文字群を網膜の中心窩でとらえるためのすばやい視線移動(saccade)と、文字の読み取りに相当する停留(fixation)の繰り返しであり、これらが効率よく繰り返すことでスムーズな読書を行うことができる。一般的に、saccade幅の大きさは視角ではなく文字数に依存し、日本語の通常の文章を読む場合では平均3文字程度であり、停留時間はおよそ100~500msの範囲にあることが報告されている。中高齢者は若年者に比べて読書速度が遅く、その眼球運動を比較すると停留時間の遅延ではなく、saccade幅の減少であることが確認された。 中高齢者のsaccade幅の減少について、減少する要因が何であるかを検討するため、いくつか追加実験を行った。①近距離視力の低下:中高齢者は近距離視力が低下し像がボケることがsaccade幅減少に起因しているかを検討したが、その影響は少ない事が明らかとなった。②視野の影響:視野を制限するとsaccade幅が減少するため、中高齢者の視野が低下しているかを静的量的視野検査(ハンフリー)を用いて検討したが、変化はなかった。③有効視野の影響:文字を小さくして検討したところ、文字が小さくなるとsaccade幅もその分小さくなり、中高齢者の有意な減少が確認された。これらのことより文字の大きさに関係なく中高齢者の知覚する文字数が若年者に比べて少ない可能性があり、文字認識範囲である有効視野の低下が考えられた。読書以外にも加齢に伴う有効視野が狭くなる報告もあり、有効視野を広げる課題などの作成することにより、高齢者の読書支援につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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