2010 Fiscal Year Annual Research Report
物理的刺激の血管内皮機能への影響と生活習慣による影響の違いについての実験研究
Project/Area Number |
22700553
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
野口 雅弘 金城大学, 医療健康学部, 講師 (40454243)
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Keywords | 血管内皮機能 / 物理療法 / 身体活動 / 理学療法 / 喫煙 |
Research Abstract |
理学療法分野の対象者は血管病変を有しているものが多く,脳血管障害患者に対して疼痛軽減や痙縮軽減のために温熱や寒冷療法が処方されることが多くみられる.しかしながら,温熱刺激や寒冷刺激が血管内皮機能に影響を及ぼすのかについてはまだ明らかにされていない.そこで本研究では,若年者を対象に温熱刺激や寒冷刺激が血管を拡張する血管内皮機能に影響を及ぼすのかについて実験研究によって明らかにすることを目的とした. 研究計画は2年間であり,研究初年度は物品の購入や対象者募集などの準備期間とデータ収集期間とし,データ収集は研究2年目も継続して行う.対象者は若年男性14名(年齢20-21歳)であった.血管内皮機能はEndo-PAT2000による脈波測定によって,指-振動計測による反応充血インデックス(RHI)により評価した.RHIの測定は安静時と温熱刺激後あるいは寒冷刺激後の3回測定する.また,安静時の身体活動量(PA)と体組成を測定する.PAは,姿勢と強度から一日のPAを推定する肢位強度法(Position and Intensity in Physical Activity;PIPA)を使用し,問診によって一日の行動記録を調査して消費エネルギー量を算出した.血管内の血流状態の評価として,超音波画像診断装置を使用した.当初の研究計画からの変更点として,血管内皮機能は喫煙の有無によって大きく影響を受けることから,対象者を喫煙者と非喫煙者2群に分け,それぞれの群内で刺激前後のRHIの変化を比較する.現在のところ,14名の対象者中,喫煙群8名,非喫煙群6名である.解析はまだ行えていないが,現在のところ安静時のRHIは喫煙群と非喫煙群で大きく差異がみられており,喫煙群は若年でもRHIが低下している可能性がある.また,温熱刺激後,寒冷刺激後で喫煙群ではRHIが改善,非喫煙群ではRHIが低下するという,喫煙群、非喫煙群で全く異なる反応がみられ,温熱刺激や寒冷刺激後の血管内皮による血管拡張作用は,喫煙の有無によって大きく異なる可能性がある.
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