2010 Fiscal Year Annual Research Report
運動器慢性痛の発症機序の解明 -生後発達因子の行動組織学的研究から-
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22700554
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Research Institution | Hamamatsu University |
Principal Investigator |
櫻井 博紀 浜松大学, 保健医療学部・理学療法学科, 講師 (60454419)
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Keywords | 慢性痛 / 運動器 / モデル動物 |
Research Abstract |
運動器障害をはじめとした神経損傷以外の原因で発症する慢性痛は、発症起点より空間的・時間的拡大を示す慢性広範囲痛を呈し、社会的に大きな問題となっている。そこで本研究では、運動器障害による慢性痛のメカニズム解明を進めるために、独自に開発した運動器慢性痛モデルを用いて、慢性痛の発症・維持要因を探る。 特に、若齢期において慢性痛が発症しにくいことに注目し、生後の発達過程における何らかの要因が発症に関与している可能性が考えられることから、その要因を末梢および中枢から行動学的、組織学的に探っていく。それにより、運動器慢性痛のメカニズムの解明と効果的な慢性痛リハビリテーションの基礎の構築につなげる。 本モデルでは急性期の末梢損傷組織が長期痛み行動を引き起こすトリガーとなる可能性が考えられるため、障害筋である下腿三頭筋の凍結切片を作成し、急性期と慢性期を時間軸として、それぞれの時期における筋組織での損傷像、再生像を解析する。また、本モデルでは障害部から離れた足底部(両側性)、さらに尾部まで痛みが拡がるため、脊髄における可塑性発現の時間・空間的な拡がりについても解析を進める。これまでに成熟(生後9週)処置で10週間以上も長期に続く慢性痛がみられたのに対し、若齢(生後3週)処置では慢性痛が発症しないのが認められている。そこで、若齢と成熟処置での違いが発症要因と関連すると考えられることから、障害筋の経時的変化を組織学的に検討し、痛み行動が極大となる処置後6週においては成熟、若齢処置のどちらでも同様に治癒が進んでいることが認められつつある。
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