2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞生物学的な根拠に基づいた、筋萎縮に効果的な筋力増強運動の方法の開発
Project/Area Number |
22700555
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
伊東 佑太 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 助手 (30454383)
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Keywords | リハビリテーション科学 / 運動療法学 / 動物 / 細胞生物学 / 骨・筋肉 / 筋肉生理学 |
Research Abstract |
本研究は、筋力増強運動による筋萎縮からの回復促進効果に、筋衛星細胞の活性などが関与するかどうかを細胞生物学的に明らかにすることを目的とした。 平成23年度には、尾部懸垂法により筋萎縮を誘発したマウスに対して、オペラント学習法を用いた筋力増強運動を行い、筋湿重量や筋腹の横断面積のみならず、筋線維の横断面積や数の回復が促進されることを確認した。またこの時に、筋線維核の数が正常な数よりも大幅に増加することを明らかにした。この結果は、筋力増強運動による正常な筋の肥大時には見られない、萎縮筋に特有の大きく、早い変化であり、筋萎縮からの回復促進効果メカニズムを探る上で重要である。平成24年度には、この筋線維核数の増加がいつどのように起こっているかを、EdUを用いて解析した。その結果、筋線維内に投与後の増殖を示すEdU陽性核が観察できた。また、筋萎縮後、運動を開始して4日目には筋線維核数が正常な数の1.6倍まで増加し、かつその増加は運動開始2日から4日目の極短期間に起こっていることがわかった。この結果は、筋衛星細胞などの増殖/分化、筋線維への融合が、この短期間に起こっていることを示す結果である。実際に、Pax7陽性となる筋衛星細胞の増殖も確認した。 以上の結果から、萎縮筋に対する筋力増強運動の回復促進効果のメカニズム解明には、筋衛星細胞の増殖/分化、筋線維への融合による筋線維核数の大幅な増加が鍵を握っていることが示唆された。しかし、これらの現象を引き起こす詳細なメカニズムや至適な筋力増強運動の強度は不明である。本研究結果を基に、筋力増強運動が筋萎縮からの回復促進効果を得る詳細なメカニズムを解明し、より効果的な筋力増強運動の方法を検討していく必要があると考える。
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Research Products
(4 results)