2010 Fiscal Year Annual Research Report
電気刺激と熱刺激を併用した新たな糖尿病の治療法の開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
22700558
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
岩田 全広 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60448264)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / 骨格筋 / 電気刺激 / 熱刺激 / 耐糖能 / インスリン感受性 / heat shock protein |
Research Abstract |
適度な運動は、糖尿病・肥満症や高血圧症など生活習慣病の病態改善や予防に重要な役割を担っている。しかし、臨床で遭遇する患者の中には、疾病の急性期や心循環器系の疾患を合併しているなどの理由で、積極的な身体活動を伴うような運動療法を実施することが困難なケースも多く存在し、その代償となる治療法の早期開発が急務となっている。そこで、本研究課題では電気や熱などの物理的刺激に対する筋細胞応答に着目し、電気刺激または熱刺激が糖代謝能に及ぼす影響とその作用機序の解明を行い、臨床応用に向けた科学的根拠を集積するとともに、電気刺激と熱刺激を組み合わせた治療介入がインスリン抵抗性を示す骨格筋の治療において、より効果的かつ効率的に作用するのではないかといった仮説を培養骨格筋細胞と糖尿病モデル動物を用いて検証することを目的としている。まず、培養骨格筋細胞(C2C12筋管細胞)を用いた実験では、(1)電気刺激により筋管細胞の糖取り込み活性が促進すること、(2)その電気刺激を繰り返し負荷すると筋管細胞のインスリン感受性が亢進すること、(3)熱刺激によりインスリン抵抗性を改善するheat shock protein(Hsp)72やHsp27発現量が温度依存的に増加することを確認した。現在、インスリン情報伝達系への効果を指標に、電気刺激と熱刺激を繰り返し行うことで加算効果が得られるかどうかを追求している。また、培養実験で得られた結果を基礎資料として、動物を用いた実験では、まず健常ラットを対象に用い、両側の大腿四頭筋に対する経皮的電気刺激の繰り返しが健常ラットの糖代謝能に及ぼす影響を検討した。その結果、電気刺激を繰り返し負荷すると(1)健常ラットの耐糖能が向上すること、(2)インスリン感受性が亢進することまでを明らかにしている。今後は、糖尿病モデル動物を用いて、電気刺激、熱刺激、またはそれらの併用による治療介入を行い、その効果検証を進めていく予定である。
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