2010 Fiscal Year Annual Research Report
足関節筋筋力低下が変形性膝関節症の発症および進行に及ぼす影響
Project/Area Number |
22700564
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小澤 淳也 広島国際大学, 保健医療学部, 講師 (00435059)
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Keywords | botulinum toxin / 腓腹筋 / 筋力低下 / type II collagen cleavage / 軟骨代謝 / トレッドミル走行 |
Research Abstract |
足関節底屈筋力低下が軟骨代謝や変形性膝関節症の発症・進行に及ぼす影響を調べることを目的とした。実験には14週齢Wistar系雄性ラット(各群5匹、計35匹)を使用した。神経週末部のアセチルコリン放出を抑制するbotulinum toxin type A(BTX)を右腓腹筋に注射し(2U/kg体重)、足関節底屈筋力を低下させた。注射後3日より、12m/minの低速度で60分間トレッドミル走行を1,3,6週間行った。走行の影響を考慮し、同条件でトレッドミル走行のみを行った群とで比較した。対照群には無処置のラットを用いた。実験終了後、ラットの血液を採取し、軟骨分解マーカーのtype II collagen cleavage(CIIC)をELISA法により測定した。BTXの筋への影響を評価するため、腓腹筋と大腿直筋の湿重量を測定した。また、組織学的観察を行うため、両足・膝関節を採取、固定、脱灰、パラフィン包埋した。BTX投与により、腓腹筋筋湿重量は、いずれも同時期においてもBTX非投与群と比べ有意に減少した。大腿直筋では、走行3週ではBTX投与群でBTX非投与群よりも減少したが、同個体の左右間の比較では差は無かった。血清CIICは、BTX投与群およびBTX非投与群ともに走行1,3週で対照群と比べ減少傾向を示した。走行6週では、BTX非投与群では対照群よりも有意に低値を示した。一方、BTX投与群では走行6週で増加傾向を示し、BTX非投与の6週走行群との比較では154%に増加した(P<0.05)。以上の結果から、低速度走行では、軟骨基質分解は亢進せず、長期間の走行により、軟骨基質の分解が減少することが示唆された。また、足関節底屈筋力の低下は、長期間の低強度走行に伴う軟骨基質分解の減少を妨げることが示唆された。
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