2011 Fiscal Year Annual Research Report
足関節筋筋力低下が変形性膝関節症の発症および進行に及ぼす影響
Project/Area Number |
22700564
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小澤 淳也 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (00435059)
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Keywords | botulinum toxin / 腓腹筋 / 筋力低下 / type II collagen / 軟骨代謝 / トレッドミル走行 |
Research Abstract |
足関節底屈筋力低下が軟骨代謝や変形性膝関節症の発症・進行に及ぼす影響を調べることを本研究の目的とした。実験には14週齢Wistar系雄性ラット(各群5匹、計35匹)を使用した。BTX+走行群には神経終末部のアセチルコリン放出を抑制するbotulinum toxin type A(BTX)を右腓腹筋に注射し(2U/kg体重)、足関節底屈筋力を低下させた。注射後3日より、12m/minの低速度で60分間トレッドミル走行を1,3,6週間行った。走行群には同条件でトレッドミル走行のみを行った。対照群には無処置のラットを用いた。実験終了後、ラットの血液を採取し、軟骨基質のtype II collagen分解マーカー(CIIC)、type II collagen合成マーカー(CPII)、軟骨基質のプロテオグリカンであるaggrecan合成マーカー(CS846)をEHSA法により測定した。その結果、軟骨代謝を示すCPII/CIICが走行期間に依存して増加し、走行6週群で対照群よりも有意な増加が認められた。また、二元配置分散分析により、CIIC及びCPII/CIICにおいて、走行期間とBTX投与の有無で交互作用が認められ、走行運動によりtypeII collagen代謝が亢進する二方、足関節底屈筋力低下がその効果を相殺することが示唆された。なお、CS846では有意な差は認められなかった。 膝関節を採取、パラフィン切片を作製、サフラニンO染色を行い、膝関節内側部を顕微鏡観察した。その結果、いずれの群も大腿骨、脛骨に明ちかな軟骨変性・損傷は認められず、軟骨層の厚さも著明な違いは認められなかった。しかし、走行6週群で対照群およびBTX+走行6週群よりも関節軟骨部の染色性が亢進しており、プロデオグリカン増加の可能性溺示唆された。 以上の結果から、走行運動は関節軟骨代謝を亢進させる一方、足関節筋力が低下した状態での長期関(6週間)の運動はその効果を消失させること、さらに足関節底屈筋力が膝関節の軟骨代謝を変化させる可能性が示された。
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