2010 Fiscal Year Annual Research Report
片眼白内障手術患者における両眼情報統合過程の解明と臨床応用
Project/Area Number |
22700573
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
溝上 陽子 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 助教 (40436340)
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Keywords | 白内障手術 / 両眼情報 / 色覚 / コントラスト感度 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、片眼白内障手術前後の患者がどのように両眼情報を統合しているかを解明し、その結果を臨床や生活補助ツール、ユニバーサルデザインなどへ応用することを目的とする。将来的に手術前後の診療や生活補助ツールに役立てるための基礎的研究として、片眼白内障手術前後の左右眼と両眼視それぞれの視覚特性を調べることにより、その順応過程と両眼情報統合過程に関する基礎データの取得と視覚特性の分析・モデル化を行うことを目指している。当該年度は以下の視覚特性測定実験を実施し、結果を検討した。 (1)色知覚:色の見えが異なる各眼の情報が、両眼視ではどのように統合されるかを、各眼・両眼の無彩色知覚を求めることにより調べた。実験では、CRTモニター上に様々な色相の低彩度の色刺激を順番に呈示し、その中から一番無彩色に近い色を選ぶことにより無彩色知覚点を求めた。(2)空間周波数:視力・空間周波数特性が異なる各眼の情報が、両眼視ではどのように統合されるかを、コントラストと細かさを変化させたグレーティング(縞)が見える閾値を求めた。実験では、CRTモニター上にグレーティングを呈示し、空間周波数2,4,8,16 cycle/degreeについて、各コントラスト感度を上下させ閾値を測定した。(3)立体視:手術直後と経過後で立体視に変化があるかどうかを立体視検査により調べた。 被験者は、術後数週間以降の視力が比較的安定した状態、また非手術眼は矯正視力0.8以上を要する患者である。非手術眼に白内障がある患者、低視力の患者は含めなかった。実験は定期健診の際に行い、術後の視覚の変化を長期的に測定した。現在までの結果は、片眼ずつの色知覚は異なるが、両眼では情報は統合されていること、コントラスト感度には両眼に大きな差が見られない傾向があることを示している。
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[Presentation] 片眼白内障術後の色知覚2010
Author(s)
青島明子, 豊田敏裕, 溝上陽子, 鈴木敬明, 栗木一郎, 中内茂樹, 篠森敬三, 岡嶋克典, 佐藤美保, 堀田喜裕
Organizer
第46回日本眼光学学会総会
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2010-09-04