2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中上肢リハビリテーション支援のためのロボット装具の開発
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22700575
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂井 伸朗 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60346814)
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Keywords | リハビリテーション / 知能機械 / バイオメカニクス / 脳卒中 / 肩関節 / 理学療法 / 作業療法 / ロボティクス |
Research Abstract |
本研究の目的は上肢機能的リハビリにおける基本項目である到達把持リハビリを支援する肩甲骨-体幹系のロボット装具を開発することである.本年度の成果については主に以下の項目が挙げられる. (1)肩甲骨把持専用ロボットハンドの開発 療法士は肩甲骨を把持することで上肢の安定と体幹の制御を行う.その時療法士は親指を腋下に入れ,後背筋腱を圧迫することで求心性の刺激を加え上肢を安定化する.本年度はこの親指の動きを肩甲骨把持部に導入したハンド機構を開発した.到達把持運動との協調動作については計画通り次年度行う計画である. (2)到達把持運動のロボットによる運動解析 空間に向けての到達把持運動の解析は霊長類で行われている.本研究ではそれにならい,16×3の到達把持空間を設定し実際に把持動作まで行う実験系を設定し,ロボットを装着状態で到達把持運動を行った.その結果空間内でほぼ上肢のみで運動が行われる領域と,体幹まで大きく動く領域が判別された.特に臨床で行われている膝高さの到達把持は比較的体幹運動を誘発することが分かり,臨床での到達把持リハビリの裏付けが得られた.それとあわせ,自己への到達動作を考慮し,ロボットを装着状態で食事を行う実験を行った.単純な到達把持においては各関節運動において,個人差はあるものの定性的には関節角の相互の位相が確認されたが,食事においてはバランスを取ることに起因すると考えられる複雑な関節角としての運動が測定された.このことは,体幹等の運動が巧みに制御されないと食事動作が円滑に行えないことを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
到達運動解析の場合は把持まで含まないが,本研究では実際の空間で到達把持を行っている.当初一つの協調運動を関節運動の位相として表現する予定であったが,それは単純な運動の場合であり,食事と行った動作では協調運動の調整を多く行っている様子が新たに確認された.当初の研究範囲では調整動作について十分に考慮していたとは言えなかったため,今後はこれを考慮した実験と結果の解釈を付加する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
本装置を用いて,まずは様々な上肢運動を計測し,到達把持動作支援ロボットに必要な要素を見いだすことを行った.単純な到達把持では位相で運動を表現することが可能かもしれないが,食事といった若干な運動では運動の修正が多く行われていた.このことは臨床において,複雑な運動の修正が必要な場面では単純な到達把持運動のワンセットのリハビリだけでなく,バランスといったセンシングを伴う運動の修正についてもリハビリを行う必要性が示唆された.そこで今後は上肢動作の作業の複雑さも考慮して,実験系を組立てることを取入れる計画である.
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Research Products
(8 results)