2010 Fiscal Year Annual Research Report
非知覚な高周波サブリミナル点滅光と確率共鳴を併用した視覚誘発電位型BMIの開発
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22700581
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牛場 潤一 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (00383985)
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Keywords | 生体生命情報学 / ユーザーインターフェース / リハビリテーション |
Research Abstract |
「閉じ込め症候群」の患者のために、頭皮脳波を利用してコミュニケーションエイドを操作するためのブレイン・マシン・インターフェースを開発する。平成22年度前半では、点滅しているようには見えない、高周波点滅光を被験者が見つめている際の頭皮脳波を分析した。具体的には、被験者の90cm前方に設置した4つのLED光に対し、それぞれ任意の周波数(35-100Hz)を割り当てて点滅させた。このとき、視覚野近傍の後頭部に銀塩化銀電極(直径10mm)を貼付して頭皮脳波を計測し、実験者が指定した1つのLED光を10秒間している際の信号を分析した。その結果、視認できない点滅光では、頭皮脳波のパワースペクトルに特徴的なピークが認められず、その結果だけから「どのLEDを見つめていたか」を識別することはできなかった。一方、本研究で提案するコヒーレンス関数を用いて、4つのLED駆動信号それぞれと頭皮脳波の相関計数を算出したところ、被験者が注意を向けているLEDの点滅周波数に一致した周波数において著明なピークが認められた。以上のことから、提案手法によって、被験者が注視している高周波点滅光の同定が可能であることがわかった。平成22年度後半では、頭皮脳波に含まれるLED点滅情報を増強させるため、視覚神経系の非線形応答性に着目し、確率共鳴現象を活用する手法の検討をおこなった。具体的には、LED点滅光源の周辺にノイズ光を提示することで異なる視神経細胞を別パターンで活動させ、視覚野および外側膝状体で神経活動電位の非線形和を誘導し、信号増幅することを意図した。その結果、ノイズ光無し、あるいは直流光提示の場合と比較して、頭皮脳波のパワーが増加することが明らかになった。ノイズ光強度に対して至適な反応性が認められる等の特徴から、当初計画のとおり確率共鳴現象が信号増幅に寄与していると判断された。
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Research Products
(1 results)