2011 Fiscal Year Annual Research Report
非知覚な高周波サブリミナル点滅光と確率共鳴を併用した視覚誘発電位型BMIの開発
Project/Area Number |
22700581
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牛場 潤一 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (00383985)
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Keywords | ブレイン・マシン・インターフェース / 頭皮脳波 / 視覚誘発電位 / 確率共鳴 / コミュニケーションエイド / リハビリテーション / 閉じ込め症候群 / コヒーレンス解析 |
Research Abstract |
「閉じ込め症候群」の患者さんのために、頭皮脳波を利用してコミュニケーションエイドを操作するためのブレイン・マシン・インターフェース(BMI)を開発した。具体的には、点滅しているようには見えない、高周波数で連続して点滅するサブリミナル光(臨界融合周波数である約34Hzよりも高い点滅)を提示し、視覚誘発電位(ssVEP)を後頭部(第一次視覚野近傍)から計測。ユーザが視線および注意を向けている光源を、次の独創的な2つの新手法によって同定することに成功した。 1.光源駆動信号と脳波とのクロススペクトル解析およびコヒーレンス解析によって、非知覚な高周波点滅光の下でも頭皮脳波内にssVEP成分が存在することを同定した。 2.視野周辺に非知覚なノイズ点滅光を与えることで視覚神経群に確率共鳴現象を起こし、信号雑音比を2倍程度まで向上させることに成功した。 平成23年度前半では、リアルタイムな家電制御を実現するBMI環境制御装置を開発し、4つのLEDを識別するオンラインBMIを構築した。健常成人を対象とし、BMIの原理証明のために、テレビのチャンネル操作操作を実施し、リアルタイム処理がおこなえることを確認した。そのほか、医師の立ち会いの下で実験を実施し、てんかん発作などに対する安全性と疲労感を確認したところ、頭皮脳波上の所見からは、特段の異常波形は認められなかった。また、通常の点滅光を凝視する場合と比べて、疲労感は低いことがVisual Analog Scaleを用いた主観評価から明らかになった。 平成23年度後半では、脊髄損傷患者の方にご協力頂き、ssVEP特性評価およびオンラインBMI検証実験をおこなった。その結果、健常者同様の結果を得ることができ、本手法が障害の程度に規定されない、汎用なインターフェースであることを示すことができた。
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