2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700588
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 誠二 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 講師 (70452795)
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Keywords | 靴 / 靴底摩耗 / 歩行 / 危険閾 / 最適形状 |
Research Abstract |
本研究の目的は,靴底の摩耗形状と歩容を細かく照らし合わせることで詳細な摩耗の特性や摩耗機序を明らかにする(H22年度)とともに,その摩耗の特性や摩耗の機序に沿って摩耗の程度を変化させ,身体の反応を検討することで,靴底の最適な形状と摩耗の安全限界を明らかにすることである(H23年度).初年度の実験結果より,靴底の摩耗形状は着地時の距骨下関節の回外角度に最も依存することが明らかになった.さらに,内側と外側の摩耗の始まる位置を結んだ直線と爪先部と踵部の中心部を結んだ線との交点の角度(以下:底面摩耗角度)は,使用期間に依存しないことが明らかになった.また,摩耗形状の多くは内側に比べて外側の方が大きく摩耗する形状であった.この結果を受け,本年度では,底面摩耗角度を基準として摩耗形状を3パターンに分類し,それぞれにおいて摩耗の程度を変えた靴(摩耗計測結果の平均値・最大値・最小値)を作製して歩行実験をさせた.なお,被験者は3パターンの摩耗形状に沿った歩容の者をそれぞれ選んだ.実験の結果,着地時の距骨下関節の回外角度が大きく,内側と外側の摩耗の差が最も大きい群および距骨下関節の回外角度がやや大きく,摩耗の差がやや大きい群では,摩耗の程度が最小値の際に,よりスムーズで下肢の筋に負担の少ない歩行になることが明らかになり,それ以上の摩耗は下肢への負担を増加させることが示唆された.また,距骨下関節の回外角度が小さく,内側と外側の摩耗の差が小さい群では,摩耗の程度が平均値の靴で下肢への負担が小さく,それ以上の摩耗で負担が増加することが示唆された.これらの結果より,一般的な靴における踵部分の摩耗の安全限界および踵部分の最適な形状を割り出した.今後,様々な靴に対しても検証していく必要があるが,一つの指標として摩耗の安全限界と最適形状を示せたことは,下肢の疲労・傷害予防の観点から非常に有意義なことである.
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