2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22700606
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
杉山 真人 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 講師 (00442400)
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Keywords | 幼児 / 予測 / 時間的見積もり / 動的光刺激 / 刺激の遮蔽 |
Research Abstract |
本年度の研究課題は,被験者の反応と移動刺激の遮蔽によって生じる時間的見積もりの正確性との関係を明らかにし,幼児の動的刺激に対する予測時の情報処理様式を検討することを目的とした.被験者は保育園に通う3歳児から5歳児及び成人被験者であった.実験装置は被験者の前方に設置された7つの刺激ボックスおよび手元の反応キーで構成された.刺激ボックスから呈示される赤色の光刺激が一定速度で被験者の左から右に移動する仕組みになっていた.課題は移動する刺激に対してあらかじめ設定された刺激呈示位置(標的刺激位置)に光が呈示された際,標的刺激と自身の反応を一致させることであった.ただし,標的刺激位置の手前の刺激を遮蔽した.遮蔽の条件として,標的刺激位置の直前1ヶ所を遮蔽する条件と2ヶ所を遮蔽する条件の2条件を設けた.移動する刺激の速度条件は100msec,200msec,300msesの3条件であった.試行数は各条件において15試行であった.被験者の反応を評価するために標的刺激からの誤差を算出し,年齢,速度条件,遮蔽条件の側面から比較検討した.その結果の特徴的な傾向を示すと,3歳から5歳までの幼児に関しては移動する刺激の速度条件が低速になるのに伴って,また遮蔽した刺激数の増加に伴って増大した。そして,低年齢児ほど誤差が増大する傾向を示した.これら幼児と比較して成人被験者は速度条件や遮蔽条件の影響を受けず安定した反応を示した.以上の結果から,予測を必要とする状況下では時間的見積もりが反応の正確性に影響を与えており,動的刺激に関する情報量が重要な役割を果たしていると考えられる.さらに,これら時間的見積もりや反応の正確性は発達段階と大きく関連している.従って,実際の運動技能に照らし合わせた場合,飛来するボールを捕球する技能などを幼児が習得するためには,適切な身体制御とともに動的刺激に関する多くの先行情報を入力する必要があることが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の実施からデータ収集まで研究計画に則っておおむね計画通り遂行できている.しかし,実験結果から有益な示唆を得るためには,考察をさらに検討する必要があると考えられる.そのためには実験結果の多面的な評価を検討するとともに,広く文献を精査することにより議論を深める必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
研究発表に関して,学会発表や関連研究等の情報の公開を行った.現在主要な研究データを論文としてまとめる段階にあり,学術誌への投稿を行うには至っていない.学会誌への投稿のためには,引き続き実験を行うことによってデータ数を増やすとともに,妥当性の高いデータを得る必要がある.従って,被験者数の十分な確保及び実験の実施に加え,実験結果を多面的に捉え分析・評価を行うことによって更なる議論を深めることが必要であると考えている.これらの作業を踏まえ,最終的に論文としてまとめ学術誌への投稿を行う.
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Research Products
(3 results)