2011 Fiscal Year Annual Research Report
教師のメンタルヘルス改善のための最適な運動条件の解明:ガイドラインの構築に向けて
Project/Area Number |
22700611
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西田 順一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (20389373)
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Keywords | メンタルヘルス / 教師 / 運動・身体活動量 |
Research Abstract |
文部科学省の調査(H22年度)では、年度内にうつ病などの精神疾患を理由に休職した全国の公立小中高校の教職員は5,407名であり、18年ぶりに減少したことが示された。過去の増加傾向からすると一定の歯止めがかかったと考えられるが、依然として五千名を超える教師と未だ疾患とは診断されていないながらに悪化したメンタルヘルス状態にある水面下の極めて多数の教師の存在は、憂うべき教育問題である。教師のメンタルヘルス改善・向上の糸口を探求する本研究の意義は大きい。これまで本研究では運動・身体活動の実施はアクティベーションの機会となり、ストレスマネジメント効果が得られ、メンタルヘルスの改善・向上へと結びつく可能性があることを先行研究の検討により導いた。これらを踏まえ、本年度は群馬大学にて開催された教員免許状更新講習会に参加した小学校教員とその同僚を対象として郵送法により、運動・身体活動の実施とメンタルヘルスとの関連に関する実証調査を実施した。調査には、メンタルヘルスの指標として一般健康調査票(GHQ-28)を、また運動・身体活動の実施状況の指標として国際標準化身体活動質問表(IPAQ Long Version)を使用した。複数回の質問紙調査から群馬県の各地域を中心とした小学校教員計347名(男性131名、女性214名、不明2名)の回答を得た。分析の結果、性や年齢、教員経験年数に応じた1週間当たりの身体活動量(Mets・分/週)が推定され、さらに'身体的症状''不安と不眠''社会的活動障害''うつ傾向'の各スコアが算出された。加えて仕事中、移動中、家庭内、レジャータイムなど生活場面別の運動・身体活動とメンタルヘルスとの関連が明らかにされた。以上から、学校教員の運動・身体活動の実施状況とメンタルヘルスの現状が解明し、アクティブなライフスタイルの獲得が心理的健康に寄与する可能性が示唆された。
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