2010 Fiscal Year Annual Research Report
「あがり」の発現機序の解明:運動スキルの閉鎖ー開放次元に着目して
Project/Area Number |
22700615
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村山 孝之 金沢大学, 保健管理センター, 講師 (20531180)
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Keywords | プレッシャー / パフォーマンス / 運動スキル / 注意 / 知覚 / 認知 / 情動 / 心理的ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は,プレッシャーが運動スキル遂行時の注意(意識的処理や注意散漫),空間知覚,方略,生理的覚醒水準,ならびに運動制御に及ぼす影響を調べることであった.まず,本実験では運動スキルめ閉鎖次元に焦点を当て,12名の右利きの健常大学生を対象として,プレッシャーが上肢によるボール投球課題に及ぼす影響を検討した. まず,プレッシャー教示前の習得最終ブロックからプレッシャー教示後のテストブロックにかけて,状態不安と心拍数,.ならびに質問紙におけるプレッシャー得点が有意に増加した.本実験で用いたプレッシャー操作は,パフォーマンス得点(点数)に顕著な影響を及ぼすほどではなかったが,被験者の心理面,生理面に対して有効であった.そして,質問紙の結果,動作ならびに動作以外の対象への注意がプレッシャーによって有意に増加した.動作ならびに動作以外の両対象への注意は12名中9名において報告された.さらに,テストブロックにおいては緊張の悪循環に関する得点が有意に増加した.なお,標的の空間知覚,ならびに安全性重視方略においてプレッシャーによる顕著な変化は見られなかった.運動学的側面に関しては,プレッシャーによるテイクバック期の運動変位,運動速度の減少や,リリースポイントの前方への移動が示された. 以上のことから,プレッシャー下における閉鎖スキルの課題遂行中に,意識的処理と注意散漫の両方の認知的変化が同一被験者内で生じることが確認され,生理的覚醒水準の増加とともに運動制御の変化が生じることが明らかとなった.
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