2011 Fiscal Year Annual Research Report
スピードスケートにおけるスタート動作の力学的メカニズムの解明
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22700627
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
湯田 淳 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (80415835)
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Keywords | スピードスケート / ブレード反力 / 3次元動作分析 / キネティクス / 関節トルク |
Research Abstract |
本研究の目的は,スピードスケートにおけるスタート動作中のブレード反力を計測できる力覚検出型センサースケートを開発し,3次元画像解析法との併用によって算出された3次元下肢関節トルクなどのキネティクス的パラメータなどを検討することによって,スタート動作の力学的メカニズムを明らかにすることであった.この目的を達成するためには,滑走中の力データを精度よく収集できる,軽量なセンサースケートを開発する必要がある.平成23年度では,前年度での検討を踏まえ,スケートブレードに貼付したストレインゲージからの信号を腰部に装着した小型データロガーに記録するという方法を採用し,ブレード反力計測システムをまずは確立した.その後,開発されたセンサースケートを用いた氷上でのスタート動作を計測し,スタート動作中の下肢キネティクスを検討した. 分析した結果,スタート後5m付近となる3歩目(左支持脚)において,鉛直ブレード反力のピーク値(2.93N/bw)はストレート滑走およびカーブ滑走よりも著しく大きく,スタート動作では下肢にかかる負担が極めて大きいことが明らかとなった.また,スタート動作ではストローク後半における膝関節での伸展パワー発揮が著しく大きく(ピーク値はストレート滑走の約12倍,カーブ滑走の約4倍),ストロークを通して大きな膝伸展トルク発揮が求められることが明らかとなった.これらの知見は,これまで明らかにされてこなかったスピードスケートにおけるスタート動作のメカニズムを説明するものであり,スタート動作の指導において活用可能な有意義な知見であるといえる.また,本研究において製作されたブレード反力計測システムは,スピードスケートにおけるスタート動作の解析のみならず,今後,ストレートおよびカーブでの滑走動作の解析にも活用できる汎用性の高いシステムであると考えられる.
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