2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツ・ブラウンシュヴァイクの「遊戯運動」に関する研究
Project/Area Number |
22700628
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
釜崎 太 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (00366808)
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Keywords | サッカーの受容 / サッカーの変容 / 伝統的な遊戯 / コンラート・コッホ / トゥルネン=スポーツ抗争 |
Research Abstract |
本研究の今年度の課題は、「ドイツ土着の遊戯のスポーツ的変容」と「スポーツ文化のドイツ的変容」の過程について明にすることであった。 この課題を達成するために、特にサッカーの受容過程に焦点化しながら、グーツムーツの遊戯論(1796年)、ヤーンの遊戯論(1816年)、ホフマイスターの遊戯研究(1993年)、コッホのフースバルのルールブック(1875年、1895年、1882年)、ヴィッテの国民祭論(1896年)を翻訳した。それらの翻訳について内容的に十分に理解しきれなかった点については、今年度中に翻訳の専門家に協力をあおぐ予定である。また、ドイツにおけるサッカー文化の受容過程の独自的な特徴を鮮明にするために、アジア地域におけるサッカーの受容過程についても検討した。 それらの検討の結果、ドイツにおけるサッカーの受容が、ラグビーに近い競技として開始され、その後、イギリスのマルボーロ校のルールが取り入れられることでサッカーに近づき、1895年に統一ルールが作られた際にサッカーとして定着したことが理解された。さらに、それらの過程においてドイツ語に翻訳されたサッカー用語(ゴール=マールやトーア)はシュロイダーバルやカイザーバルと呼ばれていたドイツの伝統的な遊戯から援用されたものであり、それらの把握の仕方にドイツ的な解釈が加えられていることが理解された。こうした特徴は、ドイツにおけるサッカー(スポーツ)の受容過程の独自性であると言える。以上の研究成果については、身体把握の変容(ドイツ土着の遊戯のスポーツ的変容)ともあわせて、今年度中に研究論文として公表する予定である。
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