2013 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツ・ブラウンシュヴァイクの「遊戯運動」に関する研究
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22700628
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
釜崎 太 明治大学, 法学部, 准教授 (00366808)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サッカー / フースバル / 体操遊戯 / コンラート・コッホ / トゥルネン=スポーツ抗争 / 国民自由党 / ドイツ国民祭 |
Research Abstract |
平成25年度は主に次の3点を明らかにした。 第一に,体操家カール・プランクが自著『無作法な足癖』において,スポーツ教育を推進させる目的で書かれたコンラート・コッホのフースバル(サッカーとラグビー)史とフースバルの怪我の危険性を批判し,コッホとの間に論争があったことを明きらかにした。 第二に,国民・青少年遊戯振興中央委員会(以下「遊戯中央委員会」)がスポーツを普及させる制度的な基盤を整えながらも,他方では,コッホやエミール・シェンケンドルフといった遊戯中央委員会の中心的なメンバーが国民自由党の党員であったがゆえに,遊戯中央委員会のねらいが労働者階級の青少年を社会民主主義から切り離すことにおかれていた点を指摘した。なかでも,遊戯中央委員会が計画していた国民祭においては,第二帝政期に生まれた経済市民や労働者階級の獲得に失敗していた体操祭の欠点をフースバルによっておぎない,新しい階級を含めた「大衆」の取り込みがねらわれた。しかし,遊戯中央委員会は自らの経済的な基盤の脆弱性のゆえに,国民祭を開催することができなかったのである。 第三に,コッホは体操やブルッシェンシャフト(学生組合)にみられたような命令に従う若者ではなく,自らを主体的に律することができる若者の育成のためにスポーツを教育に活かそうとし,実際にその教育はある程度の成果をあげたものの,それは極めて不十分な成果にとどまったことを指摘した。上級学年の生徒たちにスポーツが拒否されたという以上に,封建的な社会の改革を目指したはずのコッホ自身が,フースバルの普及のために,貴族階級の行動規範に従い,軍国主義の波にのみ込まれていったのである。そこにはドイツの教養市民層が抱えていた政治的な基盤の脆弱性があった。 以上の研究成果は,前年度までの研究成果も交えながら,「ドイツ第二帝政期におけるFussballの誕生」と題して公表する。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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