2010 Fiscal Year Annual Research Report
吸入酸素濃度の違いが高強度インターバルトレーニングの効果に及ぼす影響
Project/Area Number |
22700644
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
中垣 浩平 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (30549473)
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Research Abstract |
【目的】本研究では、吸引する酸素濃度の違いが高強度インターバルトレーニングの有効性に及ぼす影響を検討するために、まず吸入する酸素濃度の違い(低酸素・常酸素・高酸素)が一過性高強度インターバル運動時の生理応答および発揮パワーに及ぼす影響について検討した。 【方法】大学体育会自転車競技部に所属する選手8名を対象として、吸引する酸素濃度を変化させ、30秒間の全力ペダリングを4分間の休息をはさみ5セット行った。測定項目は、全力ペダリング中の平均発揮パワー、運動中の無酸素性および有酸素性エネルギー供給量、血中乳酸濃度とした。 【結果・考察】全力ペダリング中の平均発揮パワーは、高酸素吸引条件が低酸素および常酸素吸引条件と比較して有意に高値を示した。運動中の無酸素性エネルギー供給量は、常酸素吸引条件が、低酸素および高酸素吸引条件と比較して有意に高かった。また、運動中の有酸素性エネルギー供給量は低酸素吸引条件が、常酸素および高酸素吸引条件と比較して有意に低かった。 これらの結果から、1)低酸素吸引条件では、常酸素吸引条件よりも無酸素性エネルギー供給を増加させることができるが,有酸素性エネルギー供給量が制限されるため、発揮パワーが増加しないこと、2)高酸素吸引条件では、有酸素性エネルギー供給量を常酸素環境と同等の水準に保ちながら、低酸素吸引条件と同じレベルまで無酸素性エネルギー供給量を増加することができるため、高いパワーを発揮できること、が示唆された。したがって、高酸素を吸引しながら高強度運動を実施するトレーニングは、常酸素環境でのトレーニングや低酸素を吸引しながらのトレーニングと比較して、より効果的なトレーニング手段となる可能性が示唆された。
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