2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700647
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
横澤 俊治 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (80400670)
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Keywords | シミュレーション工学 / バイオメカニクス / 動作モデル / 形態 / 筋力 |
Research Abstract |
本研究では、身体特性(形態および筋力)と跳動作・走動作との関係を実験およびシミュレーションにより検討し、身体特性に応じた模範とすべき動作のモデル(以下、動作モデル)を構築することを目的としている。 本年度は、予備実験データをもとに、SD/FAST(Symbolic Dynamics社製)により運動方程式を導出した。各動作のパフォーマンスの定義は実験と同様とし、パフォーマンスが最大となる動作をMATLAB Optimization toolbox(MathWorks社製)を用いて最適化シミュレーションにより求めた。また、本実験データを収集後に速やかに解析に移行するため、パス解析を試験的に実施した。 以上の予備実験結果および試験的解析経過を踏まえ、本実験では分析の精度や処理に要する時間を考慮して走速度の設定、筋力測定法、MRIの分解能などを修正した。 全力の反動付き垂直跳びおよび3.3m/sec、5.0m/sec、6.7m/secの走速度の走動作を3次元モーションキャプチャーシステムにより120Hzで撮影し、身体分析点の3次元座標を得るとともに地面反力を計測した。また、ボディーラインスキャナー(BLS)を用いて3次元人体形状を得た.また、膝関節および体幹の屈曲、伸展の等速性最大トルクを計測した。さらに、関節動態用核磁気共鳴装置を用いて、磁気共鳴映像法により下肢および体幹の断面を5mm間隔で撮像した。 身体各部の慣性係数および下肢の動作に関するバイオメカニクス的変量については、予備実験と同様、BLSから得られた身体部分の周囲の座標値、動作中の3次元座標、地面反力等から算出した。筋張力推定については、身体の3次元座標および関節トルクデータを筋骨格モデルに取り込み、さらに最適化手法によって関節トルクを個々の筋に分配し、筋張力、筋の力学的仕事、活性度、収縮速度などを算出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析手法がこれまでの研究代表者の研究からおおむね確立していることもあり、予備実験のデータ処理およびそれらからの課題の抽出が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
パス解析およびバイオメカニクス的な考察から、形態特性および最大筋力と動作、パフォーマンスとの関係を検討する。形態と慣性係数との関係や個々の筋の役割などのバイオメカニクス的な理論を背景に据えながら、パス解析によって変量間の関係の強さとその経路を示し、身体特性と動作及びパフォーマンスとの関係を構造的に検討する。また、必要に応じて追実験を実施する。これまでの実験結果を踏まえ、走速度の設定、筋力測定法、MRIの分解能などを必要に応じて修正する。最大筋力や身体部分の慣性モーメント及び質量を、パフォーマンスが高いスポーツ競技者の水準に仮想的に変化させ、パフォーマンスが最大となる動作パターンを同様に導出する。最終的に、実験及びシミュレーションの結果をもとに、身体特性を考慮した場合に模範とすべき動作をどのように設定すべきかを考察する。成果を国際学会において発表するとともに、原著論文を作成する。
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