2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸の代謝活性によるミトコンドリア膜輸送タンパク質の適応変化
Project/Area Number |
22700650
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
榎木 泰介 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70392701)
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Keywords | 膜輸送タンパク質 / ミトコンドリア / 乳酸 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
本研究では、生体がどの様な適応変化を通じて、より効率的にエネルギーを産生しているのかについて解明する。エネルギー代謝過程は、解糖系と酸化系に分類されるが、その両方に共通するエネルギー物質が乳酸である。この乳酸は、細胞の表面にある乳酸輸送タンパク質によって、生体内をダイナミックに移動している。本研究では、解糖系代謝を活性化させることによって、細胞およびミトコンドリアに局在する輸送タンパク質がどの様に適応変化するのかについて検討を進める。この効率的なエネルギー代謝経路の解明は、トップアスリートだけではなく、一般人にとっても、体重減量や運動療法などにも応用が可能であると期待される。 初年度(平成22年)には、以下2つの実験手法の確立を通じて、代謝活性モデルの測定評価システムの構築を進めた。それらは、(1)実験動物の骨格筋よりミトコンドリアのみを単離、抽出し、精製する、(2)(この検体を用いて)ミトコンドリアに含まれる輸送タンパク質の発現量を定量することである。 まず、ミトコンドリア抽出実験について、学術論文において国際的に認められた手法を遂行するために、準じた器材や試薬などを揃え、正確な測定評価システムを構築することに取り組んだ。研究では、実験動物から採取した骨格筋から、高度に精製されたミトコンドリアを抽出する方法を確立することが出来た。次に、細胞に局在する輸送タンパク質の発現量を定量化するシステムの構築に取り組んだ。今年度は、特に乳酸輸送担体と脂質輸送担体に注目し、その定量化が可能となった。これら初年度に整備した実験環境を活用して、次年度には実際に薬物投与を行った検体を用いて、ミトコンドリアの抽出および輸送タンパク質の定量化を実施する予定である。
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