2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸の代謝活性によるミトコンドリア膜輸送タンパク質の適応変化
Project/Area Number |
22700650
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
榎木 泰介 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70392701)
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Keywords | 膜輸送タンパク質 / ミトコンドリア / 乳酸 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
本研究では、より効率的なエネルギー代謝のメカニズムを解明すべく、ミトコンドリアの代謝機能に注目して研究を行った。ミトコンドリア内外膜に局在するエネルギー基質輸送担体のうち、特にモノカルボン酸輸送担体(MCT)の増減変化について検討を進めた。 初年度(平成22年)には、実験動物の細胞からミトコンドリアを抽出、精製する実験方法の確立に努めた。次年度(平成23年)は、さらに実験手法の検討をすすめるとともに、実験動物に薬物(AICAR)を投与することによって、生体内のエネルギー代謝を活性化させるモデルを用いて、ミトコンドリアの変化について検討を行った。 実験では、動物に対して糖代謝を促進する薬物(AICAR)を投与し、7日間飼育後、各組織(肝臓、骨格筋、心臓、血液など)を摘出した。特に骨格筋について、細胞質における解糖系代謝活性の優位な筋線維(FG)とミトコンドリアにおける酸化的代謝の優位な筋線維(SO)の2つに分けて、ミトコンドリアを単離抽出した。加えて、ミトコンドリアについても、その局在から2種類に分けて検討を行った。それらは筋線維のZ膜を通過するもの(IMF)としないもの(SS)である。 本研究結果から、乳酸産生の亢進によって、ミトコンドリア膜の輸送タンパク質(mitMCT)が適応変化することが明らかとなった。細胞質における乳酸・ピルビン酸の増加が、以降の代謝過程に影響を与え、それに対応すべく膜タンパク質が適応変化(増加)することが示唆された。この適応変化は、骨格筋線維タイプやミトコンドリアの局在によって異なる特性を示した。今後も、他の組織やエネルギー輸送タンパク質について、更に検討を継続したい。
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