2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700654
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
酒井 健介 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (70406784)
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Keywords | 栄養学 / 食品 / 生理学 / 運動 |
Research Abstract |
平成22年度の研究では、運動負荷ラットのMg吸収率の上昇と血清Mg濃度の低下および骨格筋Mg含量の上昇を確認した。本年度は血清および骨格筋Mgと骨格筋TRPM7の発現量の関係について検討した結果、運動負荷により骨格筋TRPM7の発現量の増加を確認し、血清Mg濃度とは負の相関(r=-0.583,p<0.001)、骨格筋Mg含有量とは正の相関(r=0.531,p<0.001)を確認した。またTRPM7の発現には負荷運動強度(軽強度負荷:2時間強制遊泳、高強度負荷:体重14%負荷での20sec X 14rep間欠的強制遊泳)の違いによる有意差は確認されなかったが、高強度負荷運動で高値を示した。これらの結果は、運動負荷がTRPM7を介して骨格筋Mg動態に影響を及ぼすことが示唆された。この現象が運動負荷による直接的な影響であることを確認するため、異なるMg含有飼料(低Mg食、通常Mg食、高Hg食)を給餌した際の運動負荷ラットにおけるMg吸収率および血清、骨格筋Mg含有量、そして骨格筋TRPM7の発現量について検討した。先の研究では、運動負荷に伴い血清Mg濃度の低下と骨格筋TRPM7の発現量の増加が確認されたが、低Mg食による低Mg血症(安静ラット)では骨格筋TRPM7の発現量の増加は確認されなかった。しかしながら運動負荷低Mg食ラットでは血清Mg濃度は安静低Mg食ラットに比して低下を引き起こさないにも関わらず、TRPM7の発現量は増加した。加えて運動負荷高Mg食ラットでは運動負荷通常Mg食ラットに比して、血清Mg濃度は高値を示すものの骨格筋TRPM7の発現量も高値を示した。先の研究では、血清Mg濃度が骨格筋TRPM7の発現に影響を及ぼすものと考えたが、運動負荷がもたらす異なる要因がTRPM7の発現および骨格筋Mg含有量に影響を及ぼすことが示唆された。いずれの研究も15日間の飼育実験であり、測定に用いたサンプルは最後の運動負荷から約16時間後のものであり、今後運動負荷時の経時的な変化を検討する必要があると考え予備検討を実施した。1時間の強制遊泳時の経時的血清Mg濃度は、中心静脈カテーテル留置による採血および尾採血の2つの手法で確認し、運動中は血清Mg濃度の増加を、運動負荷終了後には低下する傾向を確認した。またウェスタンブロット法による骨格筋の全TRPM7発現を検討してきたが、骨格筋における発現局在を確認するために、組織染色等の手法の導入も検討する必要がある。
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