2011 Fiscal Year Annual Research Report
遅筋線維におけるオートファジーの役割とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22700656
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
古屋 徳彦 順天堂大学, 医学部, 助教 (50401188)
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Keywords | オートファジー / 骨格筋 / 筋萎縮 / ノックアウトマウス / ミトコンドリア / Parkin / マイトファジー / ヒラメ筋 |
Research Abstract |
廃用性筋萎縮へのオートファジーの寄与に関して、オートファジー不能マウスに座骨神経切除手術を施し検討したところ、速筋は野生型同様の萎縮を呈するのに対し、ヒラメ筋(遅筋)ではオートファジー不能により萎縮が寛解することを見出した。本研究課題は、オートファジーがどのように廃用性筋萎縮に関与しているのか、その分子メカニズムの解明を目的として行った。 前年度までの研究により、除神経したオートファジー不能マウスのヒラメ筋では、その遺伝子の変異が若年性パーキンソン病の原因となることが報告されているParkinがミトコンドリアに蓄積すること、Parkin欠損マウスのヒラメ筋においてもAtg7KO同様、萎縮の寛解が認められることを見出した。Parkinはミトコンドリアの品質管理に機能しており、Parkinが局在する異常ミトコンドリアの除去はオートファジーによって行われる(マイトファジー)。 これらのことを踏まえて、除神経したオートファジー不能マウスおよびParkin欠損マウスのヒラメ筋のミトコンドリアについてさらに詳細な解析を行ったところ、呼吸鎖複合体II、IVの活性が、対照群よりも除神経後早期に低下すること、オートファジー不能マウスおよびParkin欠損マウスのヒラメ筋のミトコンドリアが酸化ストレス状態にあることを見出した。しかしながらミトコンドリアのマーカータンパク質の発現量やミトコンドリアDNAのコピー数の除神経による変化に差は認められなかった。したがって、これらのノックアウトマウスのヒラメ筋のミトコンドリアは量的ではなく「質的」に機能低下していることが示唆された。オートファジーおよびParkin介在性マイトファジーはヒラメ筋の除神経萎縮過程においてミトコンドリア品質管理に重要であり、これらの機構の破綻により筋萎縮寛解という表現形が引き起こされると考えられる。
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Research Products
(4 results)