2010 Fiscal Year Annual Research Report
自発および強制運動時のメンタルヘルスに関連する脳内神経システムの解明
Project/Area Number |
22700660
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柳田 信也 東京理科大学, 理工学部, 助教 (80461755)
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Keywords | 運動 / 脳・神経 / 生理学 / ストレス / スポーツ |
Research Abstract |
メンタルヘルスの維持増進に効果的なものの一つとして運動が挙げられるが、どのような運動をいかにして実施するべきかについては不明な点が多く、ほとんどデータが無いのが現状である。近年、運動によるメンタルヘルスの維持増進に影響を及ぼす要因として、自発運動と強制運動の違いに注目が集まっており、その脳内神経機構を詳細に比較検討することによって、メンタルヘルスケアのための運動処方の確立に向けた重要な知見が得られると考えられている。そこで、本研究では、メンタルヘルスの維持増進のための運動処方確立に向け、特に自発運動と強制運動の違いに着目し、運動時のメンタルヘルスを統合する脳内神経機構を探ることを目的とした。本年度は、ラットに急性の自発および強制運動を行わせ、心理的変化と関連が深い脳領域における遺伝子発現量を網羅的解析手法であるマイクロアレイを用いて詳細に解析を行った。58717ラット遺伝子のプローブを搭載したチップにおいて解析を行った結果、視床下部室傍核において、遺伝子発現量が、自発>強制となったものが215遺伝子、強制>自発となったものが260遺伝子となり、これらの遺伝子の持つ機能は、転写因子や受容体機能、炎症性サイトカインなど多くに及んでいることがわかった。これらの遺伝子の機能的意味づけを詳細に行っていくことによって、自発運動と強制運動の脳内神経機構の特徴が明確となり、メンタルヘルスケアのための運動処方の確立に向け、第一段階を進むことができたと考えられる。また、本研究の結果を基に、発現変動のみられた遺伝子のターゲットプロテインを選定することは、自発運動と強制運動の脳神経機能への影響の違いを明らかにする重要な手がかりとなると考えられる。
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Research Products
(5 results)