2011 Fiscal Year Annual Research Report
自発および強制運動時のメンタルヘルスに関連する脳内神経システムの解明
Project/Area Number |
22700660
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柳田 信也 東京理科大学, 理工学部, 助教 (80461755)
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Keywords | 運動 / 脳・神経 / 生理学 / ストレス / スポーツ |
Research Abstract |
本研究では、メンタルヘルスの維持増進のための運動処方確立に向け、特に自発運動と強制運動の違いに着目し、運動時のメンタルヘルスを統合する脳内神経機構を探ることを目的とした。本年度は、まず前年度に実施したマイクロアレイによって得られた実験結果を元に、発現変動のみられた遺伝子機能についてMeSHを用いたアノテーション解析によって推定した。その結果、視床下部において発現変動がみられた249遺伝子(前年度成果)は、主にα-MSHやメラノコルチンなどの摂食に関わる下垂体ホルモンおよびモチベーションやストレスなどの心理状態と関わるMeSHにカテゴライズされる遺伝子であることが明らかになった。さらに、α-MSHとメラノコルチンのMeSHでみられた発現変動はPomcおよびAgrpのアップレギュレーションであり、モチベーションのMeSHではDrd2遺伝子、ストレスのMeSHではEgrlおよびFosのダウンレギュレーションであることが明らかになり、自発運動と強制運動では摂食行動や心理状態に関する神経機構に及ぼす影響が異なることが示唆された。次に、これまでの結果を受けて、摂食やモチベーション、ストレスなどと深く関わる視床下部のモノアミン放出レベルについて、ホモジナイズ-HPLC法を用いて検討した。その結果、視床下部のセロトニン量が自発運動の方が強制運動よりも高い値であり、ノルアドレナリン量は強制運動の方が高い値であることもわかった。セロトニンはストレスや不安時の脳神経活動を抑制することにより心理状態を安定させる働きを持ち、逆にノルアドレナリンはそれらに対し興奮性を持つと言われていることから、この実験結果においても自発運動の心理的変化における特徴的な影響が認められたと考えられる。本研究の結果から、自発運動は強制運動よりも心理的に良好な状態をもたらす可能性が示された。
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Research Products
(10 results)