2010 Fiscal Year Annual Research Report
運動のもたらす抗うつ効果は肝臓でのHIF-1α由来のVEGF生成と関係するか否か
Project/Area Number |
22700661
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中島 早苗 日本医科大学, 老人病研究所, 特別研究生 (60535459)
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Keywords | 運動 / 神経新生 / 海馬 / ストレス / 血管新生 |
Research Abstract |
「目的」海馬での神経新生の低下がうつ病の発症要因の一つと考えられる。運動は神経新生を増加させるため、運動によるうつ症状の改善要因に運動による海馬での神経新生の増加が考えられる。運動による神経新生の増加をもたらす因子として血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が考えられる。本研究ではマウスに一過性の中強度あるいは高強度のトレッドミル走を負荷し、運動後の海馬VGEF量およびVGEF受容体のリン酸化について経時的に測定した。「方法」雄C57/BL/6に小動物用トレッドミルを用いた走行運動(トレッドミル速度10m/分、10分/日)を1週間行わせ、その後、マウスに中強度あるいは高強度のトレッドミル走を負荷した。中強度運動は速度20m/分で60分間走行させ、高強度運動は速度漸増法により(開始のトレッドミル走速度は30m/分)3分間毎に速度を増加させ、マウスが疲労困憊に至るまで走行させた。海馬での神経新生を測定するために、運動終了直後にBrdUを腹空内投与し、運動前、直後、運動後1、2、4、6、12、24時間後にネンブタール麻酔下でマウスを解剖して左心室から採血した。その後左心室から生理食塩水を還流して全身の脱血を行った後に脳を採取した。「結果・考察」一過性の高強度運動においては、運動4時間後に海馬でのVEGF受容体のリン酸化が観察された。しかし、中強度運動ではVEGF受容体のリン酸化は観察されなかった。また、中強度および高強度運動後24時後に海馬歯状回での神経新生が増加した。これらの結果より、高強度運動における神経新生の増加には海馬でのVEGF signaling経路が関係することが示唆された。
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