2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動後のヒト骨格筋に対するクライオセラピーの疲労軽減および損傷軽減効果の検証
Project/Area Number |
22700663
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柳澤 修 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (50371159)
|
Keywords | クーリング / 骨格筋 / 運動 / 損傷 / 磁気共鳴映像法 / 磁気共鳴分光法 |
Research Abstract |
本研究は、運動後のクーリングが筋損傷の軽減効果を発揮するのかを検討することを目的とした。健常成人男性5名(平均22.6歳)を対象とした。運動は伸張性筋収縮を強調した足関節の底屈運動とし、体重と同等な重量を用いて10回を5セット実施した。運動後に、一方の下腿は氷嚢にて30分間のクーリング(クーリング条件)を実施し、他方は無処置(コントロール条件)にした。1.5テスラのMR装置を用いて、下腿の拡散強調横断画像を運動前ならびに運動2日後と3日後で撮像し、腓腹筋内側頭のapparent diffusion coefficient(ADC)値を算出した。加えて、MR装置内に設置した足関節底屈用の非磁性体運動負荷装置を用いて、3分間の足関節底屈運動(毎分30回、最大挙上重量の30%の重量を採用)中の31Pスペクトルを腓腹筋内側頭から得た。得られたスペクトルからクレアチンリン酸(phosphocreatine;PCr)および無機リン酸(inorganic phosphate;Pi)の曲線下面積の比(Pi/PCr比)を算出するとともに、両者のケミカルシフトを利用して筋内pHを推定した。さらに、下腿における筋痛の程度を運動前ならびに運動1-7日後で評価した。両条件ともに、運動2日後が筋痛のピークであったが、クーリング条件はコントロール条件に比して、下腿の筋痛の程度が軽い傾向を示した。筋痛時の筋運動代謝(Pi/PCr比、筋内pH)に関しては、両条件にほとんど差は見られなかった。なお、ADC値に関しては、両条件ともに運動前後でほとんど変化を示さなかった。伸張性筋収縮を強調した足関節底屈運動後の下腿に対するクーリングは、下腿の遅発性筋痛を軽減させる傾向を示したが、筋痛時の筋運動代謝に関しては有効な効果を示さなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界の研究の動向を考慮しつつ、実験計画に修正を加えているが、概ね当初の研究計画の目的を達成しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、損傷筋に対するCryotherapyのトリートメント効果を検証する予定である。高強度運動後のCryotherapyが、その後の筋機能(動きや力発揮)の維持に対してどの程度の効果を有するのかをバイオメカニクス的観点から検討する。現在のところ、研究計画の変更や研究遂行上の問題点はない。
|