2011 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱下運動時に特有な換気亢進反応のメカニズムの解明
Project/Area Number |
22700667
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
林 恵嗣 静岡県立大学短期大学部, 講師 (00431677)
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Keywords | 深部体温 / 換気量 / 食事誘発性熱産生 / 皮膚血管拡張 |
Research Abstract |
平成23年度は、食事誘発性熱産生が体温上昇にともなう換気亢進反応に及ぼす影響について検討することを目的として、実験を行った。 被験者は健康な成人男性10名であった。実験では、最高酸素摂取量の測定と暑熱下運動テストを行った。暑熱下運動テストにおいて、絶食状態と食事摂取した状態で比較することで、食事の摂取によって起こる熱産生がこの換気反応にどのような影響を及ぼすかについて検討した。この暑熱下運動テストでは、環境温25℃、湿度50%に設定した室内で最高酸素摂取量の50%に相当する強度の自転車運動を行った。運動中、食道温、換気量、皮膚血流量、心拍数などを測定した。実験で得られた換気パラメーターの値を食道温に対してプロットし、食道温上昇に対する換気量の変化を評価した。 運動中は、食道温、平均皮膚温、平均体温、換気量、二酸化炭素排出量が食事摂取条件で高い値を示した。このことは、運動中も食事誘発性熱産生による代謝量の上昇が継続されていたことを示唆する。食道温上昇に対する換気量等の増加割合を2条件で比較すると、一回換気量と食道温の関係において、回帰直線の傾きと切片が食事摂取条件で非食事摂取条件よりも大きくなる傾向が見られたが、他のパラメーターにおいて差は見られなかった。このことから、食事の摂取によって食後は体温が高く、換気量が大きくなるものの、体温上昇に対する換気の反応性には差がないことが示唆された。 また、皮膚血流量に関しては、食事摂取条件において皮膚血管拡張の深部体温閾値が非食事摂取条件よりも高くなる傾向が見られた。このことから、食事誘発性熱産生は、体温調節反応に対して影響を及ぼす可能性が示唆された。
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