2011 Fiscal Year Annual Research Report
成人労働者におけるストレス対処能力SOCの形成に関する縦断研究
Project/Area Number |
22700671
|
Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 准教授 (20509525)
|
Keywords | 首尾一貫感覚 / 労働者 / 心理社会的環境 / 公衆衛生学 / 就業形態 / 公衆衛生看護学 |
Research Abstract |
本研究の目的としては、成人労働者を対象として職場環境要因と、ストレス対処力概念sense of coherenceとの関連性を検討することにあった。なかでも、職場環境要因を原因側とし、sense of coherenceを従属変数側とする因果関係について欧米で実施された先行研究においては賛否が分かれている点について、本邦のデータを用い、また、横断的データでなく縦断的データを用いて明らかにすることを目的とした。sense of coherenceはヒトの各種原因別死亡率や各種疾患の罹患率に影響するエビデンスが蓄積されている感覚であり、生きる力、あるいは人生の見方考え方のある特徴を指す。この感覚は人間の生において極めて重要な感覚といえる。この目的を達成することを通じsense of coherence自体を高めるための要因を見つけることができ、今後新たな環境的な介入あるいは政策立案の糸口とすることが可能となる。平成23年度は、縦断研究フィールドとして東大の社研パネル調査のデータを使用することとし、データ解析を通じて成人労働者におけるSOCの形成・変動要因を検討した。特に過去4年にわたって縦断的にデータ収集が行われていた本調査データより、職業や職場環境がSOCにどのように変動を起こすのかについて、特にその因果関係を中心に分析を実施した。まず1年間の追跡研究においては、職場環境およびSOCとの因果関係について当初の仮説を検証するに至り、国際誌(Global Health Promotion誌)に投稿し採用された。さらに2年間、4年間の追跡期間での職場環境およびSOCとの因果関係に関する分析を潜在曲線モデルならびにcross-laggedモデル、同時効果モデルを用いて分析を行った。分析結果については、やはり同じく当初の仮説の検証に至ったため、日本保健医療社会学会および日本公衆衛生学会において報告を行った。同時に検証を行っているSOCスケール自体についても、その信頼性と妥当性の検討を引き続き行い、日本民族衛生学会で報告を行った。現在分析結果について国際誌への投稿作業を実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は仮説段階であった今回の研究月的とそのモデルを、縦断データの分析を通じて徐々に検証される至っている。特に掲載論文をはじめ、投稿中のもの、学会発表のものなど、分析結果を徐々に公表できていることからこのように評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ分析を進めて、より詳細なsense of coherenceに影響する要因に関するモデルを提示していくことが期待される。また、分析結果を積極的に公表していくこと、特に国際誌への投稿が必要と考えられる。
|
Research Products
(6 results)