2011 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの身体活動を推進する効果的な支援方法の開発に関する研究
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22700680
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石井 香織 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (10548697)
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Keywords | 健康教育 |
Research Abstract |
本年度は、我が国の子どもの身体活動(PA)推進に重要な要因の関連性を明らかにするための研究を行った。具体的には、1)学校環境の認知の違いによる児童のPAの差、2)環境、社会、心理的要因からなるエコロジカルモデルに基づいてPAの推進に重要な要困を明らかにした。対象者は岡山県の児童127名、生徒761名であった。PAは加速度センサー付歩数計(スズケン社製ライフコーダ)装着により昼休み(20分間)におけるPAの実施時間及び自己報告による放課後学内で実際に体を動かしている時間を調査した。また、環境要因(施設、用具、安全性)、社会的要因(運動ソーシャルサポート;SS)、心理的要因(運動セルフ・エフィカシー;SE)は質問紙にて調査した。1)の検討では、学校環境認知によるPA実施時間の差について性・学年を共変量とした分散分析により検討した。その結果、用具の得点上位群(3-7±2.6分)は下位群と比較し座位活動が1.1分有意に短かった。用具上位群の低強度身体活動(12.1±2.3分)及び施設(5.0±2.8分)、安全性(5.0±2.5分)上位群の中等度以上身体活動の実施時間がそれぞれ1.2、1.0、1.0分長い傾向が認められた。2)では、放課後学内のPAに影響を与える要因を明らかにするため性別に共分散構造分析を行った。男子ではSE及び用具が家族SSを介し、女子では施設、安全性がSE及び家族SS、友人SSを介し放課後学内のPAに間接的に影響を与えていた。本研究より我が国の子どもにおいて、学校の設備、用具、安全性に対する認知が高いことがPA時間の長さと関連していること、また、その環境要因はPAに直接的に影響を与えているだけでなく、SEやSSを介し間接的に影響を与えていることが明らかとなった。子どもの学内のPAを推進するためには、学校環境を整えるための支援を行うことの必要性が承唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容を遅れることなく遂行することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度の研究結果より、子どもの学内の身体活動を推進するためには、学校内の環境を整えるための支援を行うことの必要性が示唆された。そのため、今後の研究の推進方策として、実際の学校内の環境要因を変化させる介入を行うことによる子どもの学内の身体活動の変化を検討する。具体的には、学校の校庭の環境要因を変える学校と変えない学校において、加速度計によって評価した子どもの身体活動の変化を縦断的に検討する。本推進方策を遂行することにより、多くの子どもの身体活動・運動の推進を図るための対策の構築に貢献できると考えられる。
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Research Products
(2 results)