2011 Fiscal Year Annual Research Report
体力および生理的ストレス状態からみた発達障害児特性
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22700682
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Research Institution | Shizuoka University of Welfare |
Principal Investigator |
齋藤 剛 静岡福祉大学, 社会福祉学部・健康福祉学科, 准教授 (60413259)
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Keywords | 発達障害 / ストレス / 体組成 / コルチゾール / DHEA-S / 体力 / 児童 |
Research Abstract |
本研究は、身体的に不器用なことが多い発達障害児の体力特性は、定型発達児に比較して異なり、さらにその背景にはストレスによる身体的な緊張があるとの仮説を検証することを目的として行われた。発達障害児および同年齢の定型発達児を対象に、体力要素として重心動揺計によるバランス能力、インピーダンス法による体組成を測定すると同時に、早朝に採取した尿中のストレスに関連したホルモン(カテコラミン、コルチゾール、DHEA-S)を測定した。その結果、体力に関連した項目に関しては、両グループとも違いは見られなかった。一方、尿中ストレスホルモンに関して、いずれも有意な差は見られなかったものの、コルチゾールに関しては、p<0.1で、発達障害群が、定型群に比較して低い傾向が見られた。この結果は、当初の予想と異なる結果であった。発達障害児の50~80%が睡眠障害といわれており、睡眠障害の結果として早朝のコルチゾール反応が低下し、低い傾向がみられたのかもしれない。また、DHEA-S対コルチゾールの比で検討すると、有意に発達障害群が定型群に比較して高い値を示した。DHEA-Sは、肥満や糖尿病、発がん、自己免疫疾患、記憶維持に関して改善する作用があるDHEAの指標である。一方で、コルチゾールは慢性的に高値であることで、免疫系を抑制し認知機能を悪化させ生活習慣病の増悪因子となることがわかっている。これらのことから、DHEA-S/コルチゾール値は、身体的健康状態を示すと考えられる。発達障害群が定型群に比較してこの値が有意に高くなった理由は不明であるが、今回測定した尿中ストレスホルモンの状態は発達障害児の生理的特性を示している可能性があり、今後、サンプルサイズを大きくして研究することでより明確になると思われる。
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