2010 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄におけるポジティブ心理資源とソーシャル・キャピタルの健康長寿への影響研究
Project/Area Number |
22700694
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
白井 こころ 琉球大学, 法文学部, 准教授 (80530211)
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / ポジティブ心理資源 / 生活習慣病 / 健康長寿 / 沖縄 |
Research Abstract |
本研究は、社会疫学的観点から沖縄において、地域のソーシャル・キャピタルと個人のポジティブ心理資源の関係に着目し、健康長寿の要因分析を行うことを目的としている。沖縄では、地域の連帯意識の強さや、ポジティブ志向の心理特性などが、健康長寿の要因の一つと考えられている。しかし、調査研究は多く行われる一方で、信頼性の高いハード・アウトカムを伴う研究は限られており、因果関係の特定を可能にする研究デザインが求められている。そのため本研究では、沖縄に特徴的な社会心理的要因が、認知症発症ならびに、健康寿命の喪失に及ぼす影響を縦断的に検討することを目指した。 第一段階として、今年度は沖縄県N村において、地域在住の65歳以上高齢者を対象に、アンケート調査を行った。要介護高齢者を除いた、地域在住自立高齢者を対象として自記式アンケートを留置法により行い、1185名からの回答を得た。(回収終了3月時点)また、7月からM市における調査開始予定である。対象の2地域については、今年度は担当者説明会の実施等と、Study参加者のリクルートを主に行い、介護保険データ並びに検診データの使用許諾を得るため、琉球大学における倫理委員会の承認を得た。また市町村の承認委員会による個人データを使用許諾を得た。次年度は、早急に琉球大学と市町村側との協定締結を行い、疾病・検診データと質問紙の結合を行う予定である。 また今年度は、同テーマについて、社会疫学研究の第1人者である、Harvard大学カワチ教授の下に滞在し、コホートStudy遂行に必要な技術・知識について研修を受けると共に、主に既存データの分析を行い、健康心理資源と死亡・疾病発症についての社会疫学的観点からの分析を行った。結果については、学会発表並びに論文の作成を行い、一部の結果は論文としての発表とともに、書籍として出版を行った。特に、AGES研究では、ソーシャル・サポートの授受と健康アウトカムとの関連、またOGSS研究では沖縄地域のソーシャル・キャピタル資源の特徴についての検討、加えてJACC,JPHCデータでは、利他主義的傾向と循環器死亡の関連、失業と全死亡との関係について検討を行い、健康の社会的決定要因についての国際会議等において報告を行った。現在投稿中の論文については、審査途中である。
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Research Products
(7 results)