2010 Fiscal Year Annual Research Report
食後代謝動態に影響を及ぼす栄養成分の分子基盤の解明と疾病予防に対する役割
Project/Area Number |
22700696
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
新井 英一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (60325256)
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Keywords | 食後高血糖 / 低GI成分 / 代謝動態 / 基質燃焼 / パラチノース |
Research Abstract |
食後高血糖は生活習慣病の発症に大きく関与している。これまでにシュクロースの異性体であるパラチノースが食後高血糖を抑止できる栄養成分であることを同定したが、パラチノースの生体利用については不明な点が多い。各臓器における栄養素の代謝は、栄養素の吸収速度や容量およびそれに伴う内分泌物質の産生・作用によって制御されていることが示唆されている。そのため吸収が緩慢な栄養素(低GI成分)の代謝動態は通常食に比して作用は異なるが、その分子基盤は十分には解明されていない。そこで本研究は、食後代謝動態に影響を及ぼすパラチノースの分子基盤の解明と疾病予防および健康長寿に対する効果について解明することを目的とし、研究を遂行した。今年度、^<13>Cにて標識したパラチノースまたはシュクロースを合成し、投与後における呼気中へのCO_2排泄量について経時的に評価した結果、パラチノース群はシュクロース群に比して、CO_2の排出量は徐々に増加してピークを迎えた。興味深いことに、排泄量AUC∞(経時反応における推定のAUC)においても、パラチノース群は有意に高値を示した。このことから、パラチノース群は、糖の吸収は緩慢であるが、糖の利用は、体内への蓄積に動員(脂肪貯蔵)されるのではなく、効率的に燃焼(酸化)反応が行われた可能性が示唆された。次年度、詳細な機序を解明するために、同実験の組織を用いて、遺伝子発現およびタンパク発現などを解析し、代謝の詳細を同定する。
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Research Products
(6 results)