2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームを合併した2型糖尿病者における運動療法の体組成への影響
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22700700
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
東 宏一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60317104)
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Keywords | 2型糖尿病 / 体組成 / 運動 |
Research Abstract |
日本人と欧米人では、その体組成が大きく異なることが知られている。日本人では軽度の肥満でも脂肪肝や内臓脂肪蓄積をきたしやすく(Azuma 2009, Metabolism)、肝臓インスリン抵抗性が惹起される結果、糖尿病を発症しやすくなると考えられる。そのため軽度の減量にても脂肪肝の大幅な改善が期待でき、血糖代謝指標の改善も起こりやすい。一方で、筋肉への脂肪蓄積については日本人ではむしろ、欧米人に比して肥満してもおこりにくい可能性が示唆されている。その場合には、減量より運動が、筋肉内脂質バランスの是正ひいては筋肉インスリン抵抗性の改善により有効である可能性があり、日本人2型糖尿病者における運動療法の効果・最適な方法を明らかにするうえで重要な点であると考えている。現在までの症例で検討を行うと、断面検討では、脂肪肝がBMIや体脂肪量と有意な正の相関を示すのに対して、大腿及び大腰筋筋肉脂肪の指標である筋肉CT値は相互には強い相関がある一方で、いずれもBMIや体脂肪量とは相関を認めず、大腰筋CT値は、脂肪量よりも除脂肪量とよく正相関した。少数例での運動介入結果よりは、肝脂肪だけでなく、大腰筋脂肪についても脂肪量の減少と正の相関を認めた一方、大腿筋肉脂肪については相関がなく、運動による筋肉脂肪増加の影響が打ち消しあったものと推察している。筋肉脂肪の変化は、運動と減量の両者に左右され複雑であるが、個々にとってより運動が重要か、食事による減量が重要かを明らかにできる可能性があり、オーダーメイドの運動療法を提供していくための一助となると考えている。
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