2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームを合併した2型糖尿病者における運動療法の体組成への影響
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22700700
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
東 宏一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60317104)
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Keywords | 2型糖尿病 / 体組成 / 運動 |
Research Abstract |
日本人と欧米人では、その体組成が大きく異なることが知られている。日本人では軽度の肥満でも脂肪肝や内臓脂肪蓄積をきたしやすく(Azuma2009,Metabolism)、肝臓インスリン抵抗性が惹起される結果、糖尿病を発症しやすくなると考えられる。そのため軽度の減量にても脂肪肝の大幅な改善が期待でき、血糖代謝指標の改善も起こりやすい。一方で、筋肉への脂肪蓄積については日本人ではむしろ、欧米人に比して肥満してもおこりにくい可能性が示唆されている。その場合には、減量より運動が、筋肉内脂質バランスの是正ひいては筋肉インスリン抵抗性の改善により有効である可能性があり、日本人2型糖尿病者における運動療法の効果・最適な方法を明らかにするうえで重要な点であると考えている。現在までの症例で検討を行うと(男5女12、年齢54±8、BMI27±5)、断面検討では、脂肪肝がBMIや体脂肪量と有意な正の相関を示すのに対して、大腿筋肉脂肪の指標である筋肉CT値はBMIや体脂肪量とは相関を認めなかった。運動介入結果よりは、体重はわずか平均3%の減少にとどまったが、有意差はないものの肝脂肪は約7%、内臓脂肪は約10%減少したのに対して、大腿筋肉脂肪については全く変化を認めなかった。なお、運動介入の結果、持久性体力レベル(最高酸素摂取量)の改善を認めた症例では、改善を認めなかった症例に比べて、有意差はないものの内臓脂肪の減少が大きい傾向がみられた。一方、脂肪肝の改善については体力レベルの変化とは関連がなく、体脂肪率の変化とのみ相関がみられた(p<0.05)。筋肉脂肪については、体力レベル、体脂肪量の変化の両者とも関連は認めなかった。以上、運動療法の減量とは独立した効果の判定に、体組成の変化をどのように役立てていくかについて、さらに症例を蓄積して検討していく必要があると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、メタボリックシンドロームを合併した2型糖尿病者を、対象としているが、このような症例では、運動単独よりもむしろ、減量を希望されて来院される場合が多く、また大学病院の性格上、合併症の進行のない早期2型糖尿病者は集まりにくい現状がある。また、現在の非監視下運動では、整形外科疾患の発症や忙しさ、モチベーションの低下を理由としたドロップアウトも少なくない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度も、引き続き対象症例を増やしていく予定であるが、その際に、ドロップアウトを防止する目的で、監視下での運動の指導、3か月の時点での中間評価、加速度計の目標値を、消費カロリーと歩数に分けて、結果をわかりやすくフィードバックすることを対応策として考えている。また、新たに開設された健診センターとの連携を強化して被験者のリクルートを行う、食事による減量をある程度達成できた症例に介入を行っていくことを考えている。
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