2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳において加齢及び運動により変化するニトロ化タンパク質のプロテオミクス解析
Project/Area Number |
22700701
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宇田 宗弘 順天堂大学, 医学研究科, 博士研究員 (80549262)
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Keywords | 酸化修飾 / 3-ニトロチロシン / 6-ニトロトリプトファン / 加齢 / 身体運動 / プロテオミクス / 海馬 / 学習・記憶機能 |
Research Abstract |
脳において加齢により酸化修飾タンパク質の1つであるニトロ化タンパク質が増加し、その増加は加齢による記憶・学習機能の低下や神経変性疾患と関係していることが示されている。しかしながら、その過程やメカニズムについては十分に明らかにされていない。先行研究においてはニトロ化タンパク質のマーカーである3-ニトロチロシン(3-NT)が中齢期の脳の膜やミトコンドリア画分において既に増加していることが示されているが、どのようなタンパク質がニトロ化されているのかは明らかにされていない。本研究では中齢期のラットの海馬においてニトロ化されるタンパク質に変化が生じるのか否か、またタンパク質のニトロ化に関係している酵素の発現について検討した。実験動物は6ヵ月(6m)と12ヵ月齢(12m)の雄のF344/Nラットを用いた。Cu,Zn-SOD、Mn-SOD、EC-SOD、nNOS、eNOS、iNOS発現と3-NTは1次元電気泳動及びウェスタンブロッティング(WB)で測定した。また3-NTを含むタンパク質については2次元電気泳動とWBにより検出し、スポットの違いを比較した。6mと12mのMn-SOD、EC-SOD、nNOS、eNOS発現及び3-NTには変化が認められず、また両群においてiNOSの発現は観察されなかった。一方、Cu,Zn-SOD発現は6mに比べて12mで有意な増加を示した。両群間における3-NTのスポットの違いを比較したところ、いくつかのスポットに違いが認められた。現在、変化が見られたスポットについて質量分析装置を用いてそのタンパク質と修飾部位の同定を行っている。来年度は加齢及び身体運動による海馬における3-NTの変化について検討すると共に、我々が独自に開発した抗ニトロトリプトファン抗体を用いて、新規ニトロ化産物であるニトロトリプトファン含有タンパク質の変化をも検討する。
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