2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋由来のGas6は損傷筋におけるマクロファージのスイッチングを制御するか?
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22700704
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
椎葉 大輔 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 助教 (20515233)
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Keywords | Gas6 / マクロファージ / 骨格筋 / 食喰 / M1 / M2 / スイッチング |
Research Abstract |
本年はまず、損傷骨格筋におけるGas6発現変化について経時的に検討を行った。その結果、カルディオトキシン(CTX)により誘発させた損傷骨格筋において、Gas6 mRNA発現およびタンパク質産生が損傷後3日目以降に増強し、少なくとも損傷後10日目まで継続されることを観察した。この結果は、本研究における仮説を支持するものであった。 さらに、この損傷骨格筋におけるGas6増加の機序について、損傷初期に浸潤が観察される好中球の有無が損傷筋におけるGas6発現亢進に及ぼす影響について検討した。まず、マウスにおける好中球除去効果を評価した。その結果、好中球除去抗体(抗Gr-1抗体)投与により、末梢血中の好中球減少を観察し、さらに損傷筋においても好中球マーカーであるミエロペルオキシターゼ(MPO)が顕著に低下した。このことから、本抗体処置マウスを好中球除去マウスとしてGas6発現について検討した。その結果、好中球除去マウスの損傷筋におけるGas6発現が、好中球非除去マウスの損傷筋に比べ有意に低値を示した。一方で、好中球除去マウスの損傷筋Gas6発現は、非損傷筋に比べると有意な高値であった。この結果は、損傷筋におけるGas6発現増強に好中球を介した免疫応答が関与していること示す結果であると同時に、好中球非依存的な産生経路が存在する可能性も残すものであった。次年度では、この点についてさらに詳細に検討する予定である。 以上の結果は、マクロファージ機能修飾因子であるGas6が損傷筋内において、免疫応答を介して、顕著に増加していることを示すものであり、Gas6が骨格筋におけるマクロファージスイッチングに及ぼす影響について、さらに検討する価値があることを示すものである。
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Research Products
(2 results)